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来年度税制、個人富裕層に重圧

政府税制調査会(中里実会長)は総会で「相続税・贈与税に関する専門家会合」の議論の報告をした。それによると相続時精算課税制度は最近、利用件数が減少していて、普及のため、一定金額以下の贈与に関しては課税しない方針とした。これは、暦年贈与は110万円まで非課税なのに対しての措置だと思われるが、相続時精算課税制度が減少した背景は、デフレの時代に、先行き下がるのは分かっているような、不動産等は生前贈与したほうが損をするのではないかという考えが浸透しているからではなかろうか。また暦年贈与で死亡前3年以内の贈与は相続財産に合算されるが、これを見直し、10年、15年以内の贈与も合算すべきと提案している。これが実現すると生前贈与で相続税対策を図っても無駄になることが多くなるので、しない者が増える。しかし見直しで、生前贈与の加算対象になる者の範囲や、予見可能性なども考慮すべきとの意見も多くあった。
安倍内閣で高齢者から若い世代に資産移転を促進すべき点から「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」として一人1500万円まで贈与税がかからず、孫3人に贈与して4500万円の贈与で相続税対策をしていた者や、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置」として一人1000万円まで贈与税がかからなかったが、これらの措置は世代を超えた格差の固定化につながりかねず、金持ち優遇税制なので廃止されることになった。安倍元首相が存命なら、このような税制が廃止になったかどうか疑問である。さらに北朝鮮や中国の脅威に対抗しなければならないので、防衛費の増強が図られるので、これは一過性の問題ではなく恒久措置なので、税収をもってこれらの防衛費増に充てられなくてはならないという事で、個人富裕層の増税に頼ることになったとしている。法人税の増税は国際比較や国際世論の問題があるが、日本人の所得税・相続税・贈与税の増税は簡単だと政府は思っている節がある。このように世界で稀な、富裕者課税で、今後日本人が国外脱出を本気で考える者が出てくる可能性を秘めた令和5年の税制である。

 

☆ 推薦図書。
H・R・マクマスター著 「戦場としての世界」日本経済新聞出版 4180円
この本の副題は「自由世界を守るための闘い」として2020年米国で出版されたので、ウクライナ戦の前である。著者はトランプ大統領の国家安全保障担当大統領補佐官であった。初めにアメリカ歴代大統領が冷戦で勝利を収めた結果、次の3つの誤った考えを持つようになった。①統制的な社会に勝つため、西側のデモクラシーが世界に普及する。②国家が集まり、共同で世界を統治すれば、大国は争わなくなる。➂米軍の軍事力はいかなる敵も圧倒できる。この3つの思い込みによる自信は2001年の同時多発テロ以降蝕まれていく。プーチン大統領はソビエト共産党という誇り高い組織のもとで働いてきたので、冷戦で西側に敗れたことに名誉を傷つけられため、15年かけて西側に挑戦できるほどの力を蓄え、クリミアを併合し、ウクライナに侵攻した。トランプ大統領は米中首脳会談において、対中政策で、もはや不公正な貿易は許容できないほどになっていると指摘した。その7か月後、米中首脳会談で、我々は紫禁城に案内された。天安門のある5世紀にたてられた建物であるが、習近平は伝えたかったのは、「中華民族の偉大な復興」である。紫禁城は1368年~1644年まで全土を統一した明王朝の黄金時代に建てられたもので、外国人が皇帝の権威に敬意を表し、貢物を捧げ、特権を嘆願するために訪れた場所でる。習近平は、それを現代版に復元するためにアメリカ首脳を案内したのである。ロシア、中国共に、同じような世界観を持っているということに他国は気づくべきだと。

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