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Offshore Voluntary Disclosure Programの終焉

IRSは2014年に開始したOffshore Voluntary Disclosure Program(“OVDP”)を今年の9月28日までに終わりにする、との発表が突然あった。IRSは、納税者にはほぼ6か月の猶予を与えることにより、まだ外国金融口座の開示をしていない納税者に十分な時間を与えると述べている。このOVDPは、そもそもオリジナルのプログラムは2009年に始まったもので、刑務所行きを免除する代わりに自発的に隠匿してきた海外口座の開示を促してきた。これまでに5万6千人のアメリカ人が、111臆ドル(1兆2千億円)もの額をIRSに納税させられた。この額は日本の1年間の相続税額より大きい。

 

現在のOVDPは2014年に開始されたものだが、そもそもオリジナルのプログラムは2009年から2011年まで続き、その後、現在のプログラムは2012年から始まったもので、実際のピークは2011年で1万8千人がIRSに出頭し、その後一定の人数が続き、昨年は600人まで減少した。IRSは、OVDPは終えるものの、今後は納税者への教育、告発者からの手がかり、刑事訴追も含めて納税者の海外口座の開示を強化していくとしている。IRSはこれまで刑事罰で1545人を起訴し、内671人が国際税法違反で起訴されている。

 

一方、この開示につき全く知らなかった、意図的に隠してきたものではないとする納税者に対して、IRS はStreamlined Filing Compliance Procedures (“SFCP”)を設けているが、これは今後も継続し、OVDP同様どこかの時点で終了するとしている。こちらのプログラムには、これまで6万5千人の納税者が参加している。IRSは、これらのプログラムに参加する納税者はこれまで緩やかに減少してきているものの、そこから得た情報、特に納税者が利用したプライベートバンカー、弁護士、会計士、コンサルタント等からはかなりの情報を得ることができたと述べている。

 

また、2010年に成立したForeign Account Tax Compliance Act(“FATCA”)が2013年から施行されたことにより、納税者に対する海外資産の開示のプレッシャーは高まった。FATCAは、海外金融口座の開示だけではなく、海外での投資持分の開示も含めその開示範囲は大きくなっており、そのためOVDPの終了に踏み切った。既存のStandard Voluntary Disclosure Programはこのまま継続されるが、OVDPも含め詳細についてはIRSのウェブサイトで確認したほうがよいと思われる。

 

OVDPによる海外口座情報の入手がIRS及び米司法省にどれだけの影響力を与えたかは、スイスをはじめプライベートバンクがどれだけの開示及び罰金を米国に支払ってきたかでもお分かりだ。今後IRSは引き続きモニターはしていくと思われるが、アメリカメディアでは仮想通貨による脱税犯の取り締りにその資源をシフトしていくのではないかと言っている。いよいよビットコインなど狙い撃ちにされる。アメリカの国家権力は日本と違って驚くほどの速さと、力を持っている。第二のスイスになる恐れがある。

 

 

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酒巻久著 『60歳から会社に残れる人、残ってほしい人』 幻冬舎 1200円+税
私が初めて著者の本を読んだのは「ドラッガーの教えどおり、経営してきました」で、著者がキヤノン電子の社長だったと記憶している。
定年後も「残ってもらいたい人」とは、人の心をつかむ「人間力」を備えた人である。そのためには「勉強し続けることである」。それには、自分の専門分野だけでなく、本を読んで、歴史や哲学、芸術といった教養も取り入れなければならない。幅広い教養があれば、独創的な発想ができるだけでなく、よい人間関係も築ける。
「定年になったら旅行もしたいし、本も読みたい」という人があるが、それは仕事も趣味も先延ばしにしているだけにすぎない。どんなに忙しくても本を読む時間はつくれるし、ゴルフもできる。そういう人は定年になっても、何もしないのではないか。人間、「余生」というものはない。今を全力で生きることが何よりも大切なのである。「定年になったら」と多くの人々が考えるが、それは一生一回しかない人生をダメにする。かつて阪急の創業者、小林一三は「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」と。大切なのは「今この時、この場所」で全力を尽くすことである。そして著者は信州上田の前山寺の石碑に刻まれた言葉を投げかけている。「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」。これを逆にしている人が多いという。「あの時の恩を忘れたのか」というセリフ。そして人生、夢を見て、今を、いくつになっても精一杯生きるのが一番の幸せだという。夢を持つことに年齢は関係ないと。

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