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所有者不明土地の不思議

誰の土地かわからない、所有者不明土地の面積が九州全土より多い。何故なのか? これは土地の所有者が死んで、次の所有者になるべき相続人が登記せずほったらかし状態であるからだ。ほったらかしにせざるおえない原因の一つは遺産分割で揉めているのもあれば、誰もいらないので、そのままであるのもある。このような所有者不明土地があれば何かの時、例えば道路を敷くとか、建物を建てるだとかの場合不都合をきたすので、政府は新たに「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」を制定し、不動産登記制度における相続登記の申請義務化等のほか、相続開始から10年経過後も未分割の場合の遺産分割の仕組みが見直されている。現行制度では、不動産の相続等により取得した場合の登記は義務付けられていない。そこで改正では、相続取得から3年以内に所有権の登記が義務付けられる。(不動産登記法64①)さらに民法において所有者不明土地の利用の円滑化を図るための財産管理制度を創設するほか、相続開始後10年経過後の遺産分割について見直しを行った。未分割が続いている場合、係争中のものを除いて、具体的相続分の適用はしない。(民法904の3)とした。
私が思うに今回の法改正で所有者不明土地が減少するのだろうか。相続後10年経って今なお未登記の土地は国が没収するなどの強硬措置を打ち出さない限り無理である。5万円や10万円以下の過料の罰則では現実は機能しない。ドイツのように、もともと土地は国のものだから有事の際は国が使用収益するのだという主義主張がなければだめである。今回の法改正も、お役所仕事の感は免れない。今後ますます所有者不明土地や空き家が増加するのではないだろうか。

☆ 推薦図書。
ダグ・スティーブンス著 斎藤栄一郎訳 「小売の未来」 プレジデント社 2420円+税
コロナ禍によって小売業界の生存競争は熾烈を極め、勝ち組負け組もはっきりしてきた。この本は小売業者がアマゾンなどのメガ小売に打ち勝ち、新時代を生き抜くためのリテールの「型」と「強み」について書いている。アマゾンやアリババなどの売上はコロナ禍でますます激増し、怪物企業と化している。それ以外の小売業者が生き残る道は、消費者から「感性で選ばれる定番」になることだ。そのためには、市場のポジショニングを再考しなければならない。消費者が問いかけるリテールは10種類あり、例えば「活動型」は会社の大義を掲げ、そこからぶれない商品や体験を提供することで、顧客との連帯感を育む。「賢者」型は、その分野において、高度なノウハウや情熱を持つ人材を擁することで、競争優位を生み出さす。そして長期的にブランドを維持するためには、一つのリテールタイプに、以下の4つの領域から2つを選び、差別化を図る。①カルチャー②エンターテインメント➂ノウハウ④商品。例えば④を選べば、美的にも機能的にも優れた商品の開発・販売に取り組み、顧客体験も組み合わせて優位性を確立する。様々なバリュエーションを紹介している。強力な差別化につながる2つの領域に支えられたブランドなら、コロナ後でも生き残り、怪物企業がうろついても安心だとしている。なかなか奇抜な発想の本である。

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