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大統領選、アメリカの世論

New York Timesによると、トランプ大統領が2017年及び2018年に750ドル(8万円)の税金を払っていることを報道したが、その後更に分析を進めると中国に20万ドル(2000万円)近い税金を納めていたことがわかった。そのため、自国に税金を払わないで、しかも、あの中国に納税してるのかと批判が集中した。

New York Timesの分析ではトランプ氏の申告書では、彼個人の海外の口座は開示されていないが、彼の会社名義で開設されているのである。そして、Trump International Hotels Management LLC名義で中国に88,561ドル(900万円)相当の税金を納めていることが判明した。また、トランプ氏はスコットランド及びアイルランドにゴルフコースを所有しており、そこでもLLC名義の銀行口座が確認されている。トランプ氏の弁護士によると2013年から2015にかけて中国でのビジネスライセンスを模索しており、その過程で中国のローカル政府に20万ドル(2000万円)近い税金を払ったと証言している。ただし、2015年以降この口座は休眠状態。この前後で、トランプ氏は2008年にはTHC China Development LLCという別の会社を作り上海にオフィスを開設、2010年から中国で5つの小さな会社に投資を行っている。

さて、大統領選挙の最後の討論会も終わり、今後残る所10日ほどになったが、今後どうなるのか?この二人は多くの点で世論を分断しているが、経済の回復は有権者にとって重大な関心事だ。直近のデータでは失業者保険申請者数は前週に比べると55,000人減少し787,000人となり3月以降最も低い数字となっている。更に既存の住宅販売数も9月には9.4%上昇し2006年以来最高のレベルとなっている。更には個人消費も上昇、失業保険受給者も840万人と3月以降最低を記録し、失業率も4月には14.7%であったものが直近では7.9%まで回復している。7.9%はまだ高いもののこれは恐るべき回復力と言われている。全体的に見ると凄まじく経済が回復していることがわかるのだ。

経済が回復基調にあるということでトランプ大統領にとっては追いだが、コロナ感染がとどまらないという責任はトランプ大統領にあるとする向きも多く、意見は分かれる所だが、そのため、トランプ大統領はその責任は習近平にあると叫んでいるのだ。もう一つは選挙資金の問題である。直近ではトランプ大統領の選挙資金は6310万ドル(65億円)、バイデン氏は1億7730万ドル(120億円)あり、バイデン氏は大きくリードしている。バイデン氏は9月だけも3億8300万ドル(トランプ大統領は1億3800万ドル)の選挙資金を集め、接戦している州に重点的に使っている。トランプ大統領は選挙資金が尽きたら自分の金を使うと言っているが、そのような金があるのか?NY Timesでも暴露されたように個人保証のローンが4億ドル(400億円)残っている。彼はクズのような金額だと言っているが、多くのローンがトランプタワーを含めた不動産借入金で、払えない場合は90年代のようにまた債権者に対し開き直るのか?次の4年間には返済期限が到来するローンが9億ドル(900億円)に膨れ上がると言われている。トランプ大統領にとっては再選されても、されなくても茨の道。(再選されなければ、多くの訴訟が控えていると言われている。)いずれにせよ、アメリカ大統領選についての日本の報道は、このようなアメリカメディアの重要な報道を伝えていない。戦前も戦後も変わらない日本報道機関の姿勢か。

☆ 推薦図書 ☆

原田マハ著 「モダン」 文春文庫 560円+税

この小説はニューヨークが主な舞台である。私は今の季節のニューヨークが好きだ。国連本部の近くの住宅地界隈の枯れ葉が舞いわたる風景が10月初旬である。新型コロナウイルス感染症の影響がなければこの秋、私は今頃この街にいたかもしれない。

この著者は初めてである。表紙が気に入ったので東京駅の売店で買った。読んでみると面白い、美術に関心のあるものなら、特に印象派から現代にいたる絵画に興味があれば短編小説とセットで楽しめる。

ところはモダンアートの聖地、ニューヨーク近代美術館―MoMA.ピカソ、マティス、ルソー、ワイエスなど20世紀絵画の巨匠たちの作品が綺羅星の並ぶこの美術館を舞台に、アートを愛するさまざまな人の夢や苦悩、人生の決断を描く。マンハッタンのロックフェラー、タイムズスクエア、など臨場感がある風景をこれほどまで描けるのは、著者がそこに長年住んでいたのだろう。秋の夜長の読書とは言え。私は新幹線の中で一気に読んだ。

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