ブログ

Meghan Markleに注目するアメリカIRS

イギリスのPrince Henryと結婚するMeghan Markleは、アメリカのロサンゼルス生まれである。つまり彼女はアメリカ市民権を持ったアメリカ人である。このほどウォールストリートジャーナルには、「気をつけろMeghan Markle、IRSは監視している」という見出しの記事が躍った。彼女はPrince Henryと5月に結婚を予定していて、英国籍を取得するとは言われているが、イギリスの移民法も相当厳しくなってきていて、英王室でもそう簡単に英国籍を取得できないとマスメディアは言っている。したがって当分はアメリカ人でいなければならない。そうなると、アメリカ人で国外に居住する700万人と同様、税金の問題が発生する。アメリカ市民権者及び永住権者(グリーンカードホルダー)は世界のどこに住んでいようと、必ずアメリカIRSに毎年、確定申告しなければならないし、アメリカ税法の束縛を受ける。

 

Meghan Markleの場合、具体的にどうなるかというと、もしエリザベス女王がティアラやダイヤモンドのブレスレットを彼女に与えたり、無償で貸すようなことがあれば、IRSに報告しなければならない。さらには、Prince Henryと住むことが予定されているKensington Palaceに、家賃タダということであれば、彼女のシェア分につき、これもIRSに報告しなければならない。Prince Henryの銀行口座から引き落とされるクレジットカードを彼女が持っていて、その口座残高が1万ドル(110万円)以上であれば、その口座もIRSに報告しないといけない。イギリス王室の資産はほとんどTrust(信託)になっているので、そのTrustから何らかの利益があると、アメリカに対する税金37%を納めなくてはならない。

 

最近、アメリカは海外での所得、預金、不動産など、とても厳しくなった。これはオバマ政権時代にスイス口座を利用した脱税事件に端を発して、国外に預金口座を持つアメリカ人のほとんどが脱税しているのではないかという疑念をIRSが持つようになったからだ。例えば、オーストラリアでは全ての従業員は、仮にその従業員がアメリカ人であったとしても、リタイアメント口座を作る必要がある。しかしアメリカ税法では、これらのリタイアメント口座は所得隠蔽のためのオフショアトラストとみなされ、アメリカで複雑な申告作業を行うことになる。

 

Meghanは、エリザベス女王から、ダイヤモンドブレスレットを貰う、あるいは借りる場合には、その時価が10万ドル(1100万円)を超えるような場合には、アメリカでの申告が必要になる。また、女王がどこかの城を彼女に無料で利用させる場合もアメリカに報告する義務がある。

 

このように、日本人では理解できない複雑な税体系がアメリカにある。そのため、2009年以降は毎年何千人ものアメリカ人が市民権を捨てている。しかし、市民権や永住権を捨てる場合「Exit Tax」が課せられる。この税はかなり大きい。さらに市民権を捨てた者は公表される。アメリカ人、アメリカ永住権者がアメリカ国外に住むことの難しさ、IRSの執拗なまでの追及は日本の国税局の比ではない。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
旦英夫著 『日本からは見えないアメリカの真実』 PHP研究所 1,300円+税
著者は永くアメリカに住むジャーナリスト。中味の多くはニューヨークタイムズをはじめ新聞、報道、Web記事を基に書いている。2017年にトランプ政権が発足して、その衝撃が今なお続き、世界の目がアメリカの政治、経済、社会・文化の変動に注がれている。この本でアメリカの「いま」を感じてほしいと著者は言う。
例えば、経済格差(Inequality)が社会問題となっているが、アメリカでは富裕層を意味するOne Percenter、庶民を意味する99 percenter。これは2011年にマンハッタンで起きた銀行や大企業の利権に抗議するOccupy Wall Street運動参加者が、We are the 99 percent.(我々は残りの99%)と訴えたことが発端でこの表現が広がった。トップ1%が全資産の約40%を保有するといわれ、下の90%の人たちが保有する資産全部よりも大きい。日本人の貯金好きは有名だが、アメリカ人の60%以上は預金が1000ドル(10万円)以下しかなく、25%、4人に1人は預金がゼロという報告がある。トランプは白人の低所得者を意識して「アメリカを再び偉大にすると訴えて大統領になったが、しかし数か月前に成立した新税制は、One Percenterを利するだけで99 percenterに恩恵がないとメディアから批判された。
He acts and dresses like a one percenter, but in reality he’s buried in deep debt.
この本は現代米語を学ぶ上での教科書としてもおもしろい。

関連記事

  1. 国税庁、超富裕層プロジェクト発足
  2. 民主党大統領候補、Elizabeth Warren女史の税制改革…
  3. アップルやグーグルなどは、まだ課税逃れを続けられるのか?
  4. トランプ氏の確定申告書と税務調査
  5. アメリカ居住者を装った脱税事件
  6. 最もビジネスに適した州はどこか、アメリカ
  7. GAFAの国際的課税逃れの防止法?
  8. カリフォルニアの州税事務所のしつこさ!

アーカイブ

PAGE TOP