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国際租税回避行為の防止案、アメリカは本気なのか

この前のG8サミット首脳宣言のなかに、国際課税制度における公正を確保し、各国が徴税に協力し、OECDが進めている「税源侵食と所得移転」(Base Erosion and Profit Shifting = BEPS)に賛成、支持する旨の発表があった。オバマも大統領一期目にリヒテンシュタイン、あるいは、スイスに対してアメリカ人が保有する口座の開示を求めて強硬に迫った経緯もあって、今ではスイスのプライベートバンキングも、かつて考えられないぐらい透明化したといわれる。

2010年にアメリカでアメリカ人が国外に5万ドル以上の金融資産を保有する場合はIRSに報告しないといけない「外国口座税務コンプライアンス法」(Foreign Account Tax Compliance Act = FATCA)が施行された。前にも書いたが、アメリカの身勝手な法を外国に押しつけるもので、外国金融機関(Foreign Financial Institution = FFI)に自国民の口座の情報を義務づけるもので、もしFFIで協力しないものがあればアメリカ資産から生じる利子、配当、譲渡のFFIに対する支払は30%の源泉徴収となるとしている。これは脅しである。

アメリカ人も申告が複雑になり、2011年申告によりアメリカ人のタックスリターン(個人所得税確定申告)にForm8938(Statement of Specified Foreign Financial Assets)が加わった。また過去に外国口座の申告漏れがあった者で、自主的に漏れを申告した者には「お上の慈悲」があるとして加算税を取らないとする「国外情報自主開示プログラム」(Offshore Voluntary Disclosure Program = OVDP)を実施したりして、懸命に国外を利用した脱税者の摘発に努めた。

最近では「国際的所得移転及びアメリカ税制(Offshore Profits Shifting and the U.S. Tax Code)と題して、マイクロソフト社、ヒューレットパッカード社、あるいは、アップル社等の巨大企業について調査が行われた。結果、アップル社のアイルランドに740億ドル(7兆4000億円)が発覚したが、(check-the-box/look-through)によりアメリカの課税を免れているとしている。

オバマ政権が作ったFATCA。この前のG8サミット首脳声明から始まって各国の租税回避に対する情報交換に至る一連の法整備に対して、アメリカ議会では根強い反対論がある。理由はアメリカ人の権利侵害である。共和党のランドポール上院議員を筆頭として反対派が多く可決できない租税条約が山積である。

このブログでも書いたが、日米租税条約改定議定書も日本では参議院で6月に可決したが、アメリカでは可決の見通しもたっていない。日本では新聞にも載っていない租税条約改定議定書だが、アメリカではかくも関心が高い。日本での有権者の多数がサラリーマンで、税金は会社が計算してくれて、年末調整で終わりという国と、サラリーマンであっても何であっても個人の責任で確定申告を毎年義務づけられている国民の差でもあろうか。いずれにしてもアメリカでは高額納税者への権利侵害は議会が身をもって守ってくれるようである。

 

☆ 推薦図書 ☆
伊丹敬之著 『日本企業は何で食っていくのか』 日本経済新聞社出版 935円
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、欧州金融危機と続いた日本経済、エレクトロニクス産業の総崩れで、先の大敗になぞらえて第3の敗戦と呼ぶべき状態であるとする。しかも原発事故で電力供給も今後大きな期待ができないなかで、日本企業はどうすればよいのか。ピザ型グローバリゼーションを目指せとする。海外に進出する企業はドーナツ型になりやすい。つまり国内が空洞化するのである。それではなくピザ型。全体が繋がり、中心部が空洞ではないのである。日本企業の特殊性は複雑性である。例えばコマツを例にとっても、製品の設計は日本、基幹部分のエンジンの設計も日本、部品でも技術力があまり求められない部分は新興国、組立ては世界中に分散という国際分業こそがこれからの日本企業に必要だとしている。

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