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電子商取引の課税強化はできるのか?OECD

34か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は、このほど世界的に活動する企業の節税を防止するための指針を公表した。

それによると、モスクワで開幕した20か国財務相・中央銀行総裁会議で、特許権など知的財産権をアイルランドなど低税率国に集約している米グーグルなど巨大企業などの節税策を封じ込めるべく国際基準を作るという。最近話題になった米アップルやスターバックスなど、法人税率の低い国へ子会社を設立し、そこへ本社利益を移転する手法は何も彼らの専売特許ではなく、現に日本でも武田薬品をはじめ大手製薬会社でも堂々と行っている。なぜなら税法的にはグレーゾーンの節税ではあるが、明らかに法に抵触しているわけではない。他にパナソニックやトヨタ等有名企業が並ぶが、「赤信号、皆で渡れば怖くない」ではないが、世界的潮流である。

それよりも、来年から日本では消費税率が上がる。参院で大勝した途端、政府は発表した。消費税は日本の国内の取引のみに課税されるので、日本国内で販売しなければ、当然のことだが日本国には課税権はない。したがって米アマゾン・ドット・コムの日本語書籍などから電子書籍を購入し、日本国内でそれを読んでいても購入代金に日本の消費税はかからない。あくまでも販売者は米国内にあるアマゾンであるからだ。

OECDではこのほど、(1)ウェブサイトなども販売先国のなかにある支店とみなして、販売先国の法人税等を課税する(2)売上高など外形標準に応じて法人税を課税する(3)消費税等も課すことができる。などの国際ルールを策定するとしている。

例えばアマゾンに日本の消費税を課税することができるのか。OECDは可能と言うが。国際的な利害が対立する協定など過去の歴史から見て守られてきたことはない。大きくは核軍縮、あるいは地球温暖化防止のための京都議定書など枚挙にいとまがない。

電子商取引で世界最大の対象国は、アマゾンなどを抱えるアメリカである。アマゾンに新たな税を課するのはアメリカの国益を損なう。アップルやグーグル、スターバックスの問題も根は同じである。アメリカが同調しなければ、あらゆる国際協定も「絵に描いた餅」なので、今回のOECD会議も意見をまとめて終わりかと思う。アメリカが納得しなければ「正義」ではないとオバマは言うであろう。

 

☆ 推薦図書 ☆
宮崎学著 『橋下維新の挑戦とアンシャン・レジーム』 モナド新書 987円
当初の勢いがなくなった。参院選でも明らか。何よりも共同代表 橋下市長の発言によるところが大きいが、本書はもともと橋下の政治は上滑りで国政というレベルではなく、経営コンサルタントとしての視野で自治体を経営してきたとする。大阪維新の会はむしろ国政に参加するよりも、大阪で大きな構造改革を成し遂げるべきであった。今回の失敗の原因の第一は、石原氏らの「太陽の党」「たちあがれ日本」と一緒になったことである、としている。

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