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アメリカの健康保険と相続税の関連?

オバマ大統領の選挙公約の一つでもあるオバマケア、つまり国民健康保険の問題。日本は世界で名だたる国民皆保険国であり、低料金で医療を受けられる反面、医療費の増加が政府の財政負担に大きな影を落としている。

オバマケア(The Affordable Care Act)は、アメリカ人に健康保険をリーズナブルに提供するという法律だが、本当にそうなのか。アメリカでは医療にかかるのが、これほどまでお金が必要なのか。手術でもしようものなら、何百万、何千万の単位でお金がかかる。日本人では実感としてわからない。日本の健康保険と同様、アメリカ人が皆すべて健康保険に加入できるほど低所得者層の収入は多くはない。そして日本と同様、健康保険を負担しないといけない中小企業の問題もある。会社にとって従業員を保険に加入させないといけない対象者というのは、週に30時間以上働く者とされ、アメリカでは通常フルタイムは週40時間だから、パートやアルバイトにも保険加入が義務付けられる。そのためアメリカでは今や、従業員の労働を週30時間に抑える企業が増えるのではないかと予想している。

また、政府もオバマケアではその資金を負担することになっていて、その額は3.8%Medicare Taxと呼ばれている。というのは、対象者は夫婦合算で申告する場合は総所得が25万ドル(2,500万円)以上、結婚していて夫婦別々に申告する場合には12.5万ドル、独身だと20万ドル(2,000万円)以上ということになる。例えば独身で年収が150,000ドル、投資所得が75,000ドルとすると総所得は225,000ドル。独身者は20万ドル以上に課税されるので、20万ドルを上回る金額、225,000ドル-200,000ドル=25,000ドル。これと投資所得75,000ドルを比較して少ない方、即ち25,000ドルに3.8%課税される。その結果、25,000ドル×3.8%=950ドルの負担となる。アメリカでの富裕層の大半は投資所得であるので、この負担は堪える。さらにこの負担は信託や遺産財団にも適用される。

アメリカ人富裕層にとってやっかいなのは、オバマは国民健康保険のため相続税の非課税枠(基礎控除)の段階的引下げをうたっている。現在の非課税枠は5百万ドル(The American Taxpayer Relief Act of 2012)で毎年の物価上昇指数に合せて上昇するとしている。(ちなみに2013年は5.25百万ドル=5億2,000万円、日本では5,000万円ほどであるが)ところが、オバマ大統領は来年の2014年予算にこの非課税枠を3.5百万ドル(3億5,000万円)、贈与税は1百万ドル(1億円)と2018年までに段階的に引き下げるとした。つまり2009年のレベルまで戻すということである。

はたしてこのような法律が米議会で通るのか?オバマ大統領も次の選挙はない。引退後の進路を考えたことのようだが、アメリカの富裕層は政治献金でこたえるのか、引退後の処遇でこたえるのか。いつもながら政治劇である。

 

☆ 推薦図書 ☆
渡部昇一著 『知的余生の方法』 新潮新書 720円
著者は今から35年ほど前に「知的生活の方法」を出版し、有名になった学習院大学の教授である。
知的な生活を心がける、つまり読書をすることによって素晴らしい人生を取り戻せる。知的余生とは年齢を重ねても頭脳を明晰化し、独自の発送に溢れた後半生のことである。毎日晩酌をする者で本など書いた者はいない。努力して勉強することこそ幸せになれるとした本である!

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