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オバマと米議会の茶番劇、「財政の崖」

アメリカは財政の崖(Fiscal Cliff)への転落を期限寸前の12月31日の土壇場で免れたと、マスメディアは大々的に伝えた。先の大統領選でのオバマの公約の大きな一つは、富裕層への増税。これはブッシュ減税が2012年12月末で切れるのに伴って、今後、アメリカ財政再建のためには世帯年収40万ドル以上の富裕層向け減税を打ち切ると主張。一方、共和党は年収100万ドル以上だとして互いに譲らなかった。

年末の結果、ブッシュ減税は打ち切り、世帯年収45万ドル超、個人40万ドル超に対してブッシュ減税時の35%から39.6%に税率を引き上げることになった。これとて日本の(所得税率+住民税率)が三党合意で55%に引き上げることに比べて何と恵まれていることであろうか。また、相続税率も最高35%から40%に引き上げるとしているが、日本での三党合意は50%から55%に上げるとしている。

今回の増税でアメリカ人のうち最も富裕層の2%だけに増税は実施されたようだが、年間税率の4.6%増など痛くも痒くもない。なぜならアメリカ富裕層の大半の稼ぎは株式譲渡と配当だからである。今回の改正、これらの税率は、高所得者向けの医療保険の新税と併せて最高23.8%の税率にしかならないからだ。

45万ドル以下はブッシュ減税を恒久化したと、低中所得者を守ったかのように民主、共和両党は声明を出しているが(しかし、これは日本のマスメディアだけである)。ソーシャルセキュリティタックス(給与税)の減税は打ち切った。これは堪えるのではないであろうか。富裕層の痛みより低所得者の痛みの方が大きいと思うのだが。

 

☆ 推薦図書 ☆

D・カーネギー協会編 片山陽子訳 『人を動かす 2』 創元社 1,575円
古典的名著 、D・カーネギー著『人を動かす』に、批判的な言葉はブーメランのように自分に戻ってくると。「批判しない。非難しない。小言を言わないことが人を動かす力だ」とカーネギーは言っているが、この原則はより重要になってきている。
カーネギーの時代なら仲間にうっかりぼやいたにすぎないことでも、今は命取りになる。あるピザ店のウェイトレスは、フェイスブックへの書き込みがもとでクビになった。客のチップが少なかったとして、その客を下品な言葉で罵ったのである。
クリックひとつで世界中にさらされる時代には、あっと言う間の出来事でおしまいになる。このような時代には、今まで以上にカーネギーの教えが重要になる。

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