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アメリカの脱税密告制度(2)

私は今ホノルルにいて明日ロサンジェルスのオフィスに行くことになっているが、日本でなかなか報道されない税金の事件をブログで知ってもらう事を心がけている。

前回のブログで、IRSに脱税情報を提供した者に脱税額の30%を報奨金として与えるという制度があると書いた。そして、あのUBSに秘密口座がある米国人で脱税をしている者の情報を密告したブラッドリーは、90億円もの報奨金を手にしたが、今、塀の中にいる。

何故なのか。
報奨金制度のプログラムで気をつけないといけない事が何点かある。

第一にはこの制度には二つのプログラムがあって、一つは納税額、ペナルティー、利息を含めて200万ドル以上ある場合、また個人の場合は総収入が20万ドルを超える場合で、その場合の報奨金は15から30%である。ただし上限がない。この水準に満たない場合は脱税額の15%までで、上限は1000万ドルとされる。

第二に報奨金を得るには、IRSの申告に使うFORM211でWHISTLEBLOWER CLAIMをファイルしなければならないので、弁護士、会計士を雇わなければならない。

第三にIRSは、密告者がその脱税を計画し、実行した本人である場合はWHISTLEBLOWERとしての資格を剥奪するが、その計画に参加している場合には資格を有する。ブラッドリーは報奨金を貰ったが、懲役3年4カ月の実刑判決を受け、この前、収監され、現在服役中。判決によると、彼はすべてのUBSの顧客情報をIRSに提供せず、彼のもっとも重要な顧客の情報を何人か隠していたのである。それがIRSとアメリカ政府を騙したとして懲役刑になったのであるが、彼自身が仕組んだ脱税ではないので報奨金は貰えたのである。

第四にこの報奨金は密告者としての所得として課税対象になる。また弁護士費用は報奨金の30%、従って手取りは4割となる。

このように報奨金制度はいかにもアメリカ的であるが、日本も税収難にあえいでいて消費税や相続税をあげる事だけの発想より、ねたみ社会の日本である。むしろ密告制度の方が実質的な税収が増加するかもしれない。

 

☆ 推薦図書 ☆

勝見明著 『選ばれる営業、捨てられる営業』 日本経済新聞出版社 893円
どうすれば営業マンとして独り立ち出来るのか、求められる営業マンになれるのか、本書では営業マンに求められる能力は次の5つであるとしている。
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② 自社内の情報を収集し、社内を調整する力
③ 市場の情報を収集し、それに付加価値をつけて情報を発信する力
④ 基本を確実に実行できる力。期日を守る、足で稼ぐ、興味を引くプレゼンをするなど
⑤ 顧客を感動させ、巻き込む力や、顧客が共感する熱意

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