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ソフトバンク流「節税」いよいよ規制か?

来年度税制改正が、今、自民党税制調査会で議論されている。今年12月に発表され、3月の通常国会で可決成立、4月から実施される。

この中で、ソフトバンクグループの節税策を何とか封じ込めないと財務省の威厳に関わる、という意見まで出た。それはそうだろう、1兆円の会計上の利益が出ているのに法人税はゼロに近い。M&Aを絡めたソフトバンクの節税方法は、世間ではあまり知られていなかったからである。

ソフトバンクグループのM&Aを使った節税方法を簡単に説明しよう。
例えば1000億円でA社を買収したとしよう。1000億円の価値のある企業なので利益剰余金もそこそこにある。利益剰余金が700億円あったとする。ソフトバンクは買収して子会社となった瞬間から、A社にこの700億円を親会社へ配当させるのである(つまり吸い上げる)。子会社からの配当には法人税がかからない。ここまでは上場会社のほとんどがやっている。ところがA社の価値はというと、利益剰余金がゼロ、つまり純資産がゼロになったので企業価値の算定において価値は無い、ゼロである。このA社をソフトバンクグループの子会社にタダ同然で売却する。そうすると1000億円の売却損が発生する。A社を買収してから、実態は何も変わっていないのに。である。

1000億円の損金だけが出る。私に言わせれば「行儀の悪い節税方法」である。この方法で、ソフトバンクは2016年にイギリスのアームホールディングスを買収し、子会社のソフトバンク・ビジョン・ファンドに売却して、なんと2兆円もの損失を出した。このように、株式の保有者がグループ内で移動しただけで、しかも、この赤字が今後10年間も繰越される。

孫正義代表は「世界の投資家は、合法的にいろいろな節税をしている。私たちも合法のなかで節税をはかって行く」といっている。ちなみにこの方法はアメリカでは非合法である。M&Aでは、アメリカ税制を見習ったらどうかと思う。

☆ 推薦図書 ☆
野口悠紀雄著 『データ資本主義』 日本経済新聞出版社 1600円+税
ビッグデータ、つまり大量に蓄積されたデータは今後どのようにビジネスに生かされるのか、その問題点などを記述した本である。
ビッグデータは新しい問題を提起する。プラットフォーム企業と言われる企業が市場を支配する可能性がある。半面、監視社会が出現する危険もある。
ビッグデータはAIのパターン認識を利用することによって、自動車の自動運転などに大きな影響力を持つ。パターン認識とは、写真に写っているのがミカンかリンゴかを認識し、人間が話している言語や手書き文字を認識する。今までのコンプユータではできなかったことである。AIのパターン認識は世界を変えた。「自立型致死兵器システム(LAWS)」だと戦争でも人間が介在することはなく、自動的に目標を特定し攻撃する。ドローンの編隊飛行で航空母艦を攻撃することができる。
グーグルでは写真の画像をAIが認識して、グループ分けしてサービスを提供している。このデータから利用者の年齢、収入、趣味などが把握され、広告が効率よくなる。但し、AIによる管理社会になる可能性があるとしている。

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