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国税庁また負ける、最高裁で、ユニバーサル事件

日本独特の税法がある、「同族会社の行為計算の否認」(法人税法132条)である。これは同族や親子会社だから、こんな理不尽な取引が行われ、とてもじゃないが一般では通用しない、合理性がない取引である。従って否認する、というもの。今回の事件は、日本法人であるユニバーサルミュージック合同会社(UMGK)がグループ会社であるフランス法人のUMIFから借入をし、その利息を損金算入したところ、「オランダ法人を中心とする組織再編が不自然、不合理で国税当局から損金算入が否認された」として訴訟になった。よくあるのは法人税がほとんどかからない国(いわゆるタックスヘイブン、シンガポール、香港、オランダ。リヒテンシュタインなど)に会社を設立し、その会社から不必要な借入をして、高利の支払利息を損金算入して利益を圧縮する、という手口がある。」否認の根拠が法人税法132条である。従って最高裁の争点でも本件借入金はUMGKにとって本当に必要であったのか、つまり合理性があったのかである。
金融税制でタックスヘイブンであるオランダ法人を中心とする組織再編は、確かに胡散臭い。私はこの件で、確かに節税目的があったのは事実であろうと思う、しかし企業にも私的自治の自由がある。最高裁は「本件借入は無担保で、通常は行われない取引ではない」と指摘したうえで。借入金が不当に高額とは言えないことや、利息及び返済期間がUMGKの事業計画書に基づいて決定され、今に至るまで計画通りに遂行されている」として「これらのことから、本件借入が、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済合理性を欠くものとはいえない」とし国税当局の主張を一蹴したのである。これには国税当局の受けたダメ―ジはあまりにも大きい。今後、海外に先ず会社を作り、その子会社を日本に作り、その海外親会社から借り入れて、年利5~6%で借り入れるというIT関係の会社が増えるのではないか。オランダに法人を設立し、節税対策をした会社には、ことごとく国税調査のターゲットになった。ソフトバンクグループしかりである。今後、対応の変更を余儀なくされる国税当局、わたし的には、もっと国税職員に国際税務を勉強してもらいたい。職員が「質疑応答集」を読んでいてはダメだ。

☆ 推薦図書。
山中俊之著 「ビジネスエリートの必須教養『世界の民族』超入門」 ダイヤモンド社 1760円+税
著者は世界96か国で学んだという東大法卒の元外交官である。今、世界で起きている紛争のほとんどは「民族」の問題である。「民族」を理解しなければならない。「民族」=「人種」ではない。「民族」の定義は「言語や文化、生活習慣、血縁等に関して、同胞仲間意識が広まっている集団」の事で国籍などではない。中国の人口の92%は漢民族で、残りは55の少数民族である。漢民族が中国の中心なのは圧倒的に人口が多いからであり、「漢字」という文化的・言語的ツールを持ってきたからだ。香港も漢民族だが、歴史的に共産主義の影響を受けず、独自の道を歩んできた、「中華民族」に組み込まれるには反発がある。台湾は漢民族が住み始めたのは17世紀、本格的に住み始めたのは日清戦争後だ。現在の台湾は他民族で、もともとのフィリピンやインドネシア人を入れると43の民族が集まっている。中国から来た漢民族は阻害されていたので、今の中国と台湾は全く別の国であるのは明らかだ。
ロシアには強いリーダーを追い求める習性がある。これは19世紀まで続いた農奴制に、支配者に従うことになれていたこと。そして長い国境線と北極海に囲まれて閉塞感が生んだ対外的な恐怖感がある。旧ソ連だったほとんどの国は、「ロシアは大嫌い」ということで一致するが、唯一ベラルーシだけは別、ロシア語で「何もない平らなロシア」という意味だそうで白ロシアと呼ばれていた。そもそもロシア国の始まりはキエフ大公国で「ウクライナこそロシアの本家」だという思いをウクライナ人が持っているという。この本は現代の世界情勢を紐解くには大変有意義である。

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