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日本の企業誘致、アメリカの凄さに学べ

今、成田で、これからロサンゼルスに向かうラウンジでこのブログを書いている。
アメリカで43歳にしてビリオネア―のマスク(Elon Musk)、彼はアメリカ最大のソーラー発電会社ソーラーシティ(Solar City)社、NASAより次期宇宙ステーション開発を受注したスペース・エックス(Space X)社、そして電池自動車のテスラ(Tesla)社のオーナー社長である。このテスラ社がネバダ州にギガファクトリーを建設するというので全米で大騒ぎの新聞記事になった。

 

ネバダ州リノ郊外に46万5千平方メートルの巨大工場で6500人もの従業員を投入し、年間50万台の電池自動車分の電池を製造するというもの。何せアメリカは投資と雇用が最優先の国である。再来年トヨタがカリフォルニア州からテキサスに移る。カリフォルニア州としては欲しかったのだが、そうはいかない。カリフォルニア州は負けたのだ。こういう大企業の工場誘致は取り合い合戦である。

 

ネバダ州は、テスラ社に対し提案したのは13億ドル(1500億円)の税金優遇を行う他、今後10年間、固定資産税の免除、ビジネス税の免除、今後20年間は売上税(Sales Tax、消費税)の免除、更に正規雇用者には12500ドル(140万円)の税金免除、設備投資は最初の10億ドル(1100億円)については5%、次の25億ドル(2700億円)については2.8%の税金免除を与えるとした。ちなみにテスラ社は今後15年間で100億ドル(1兆1000億円)の設備投資計画を発表している。

 

ネバダ州がこのような大胆な税金免除措置を与えた背景は、州知事によれば、ネバダ州はギャンブル、観光、鉱山に依存していた体質なので、製造業が欲しかったのだと。そうすることによって、そこに働く従業員の安定と消費が高くなることを期待してのこと。日本の過疎県もここまで大胆にかつ、世間があっということをしないと企業誘致はできない。

 

しかし、テスラ社の問題なのは、電気自動車のシェアは今、アメリカで4%であり、充電ステーションは5000か所しかなく、走行距離が400キロなので、日本と異なり1日500キロを平気で走行するアメリカでは今のところ人気がない。心配なのは、この工場で大きなウエイトを占めるのがパナソニックのリチウム電池製造工場であり、リスクをパナソニックに負わせようとしている懸念もある。いずれにしても、アメリカの地方政府は州税確保と雇用創出に躍起であり、そのためには何でもする姿勢である。

 

地方創生大臣に就任した石破氏。地方の財政は責任を持って地方でやる、そのための法律に関して国は何も言わないことにすれば、過疎県に大企業はおろか海外企業の拠点も誘致できるかもしれない。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
佐々木良昭著 『ハラールマーケット最前線』 実業之日本社 1500円+税
今や「イスラム国」問題で世界が湧きかえっている。著者はリビア大学卒である。イスラム教徒の人口は現在16億人、2030年には22億人となる。「ハラール」という言葉はイスラム法で許される行為や食物で、知られているのは、豚はダメ。イスラムで許される食品を「ハラール食品」と呼び、その市場規模は化粧品や医薬品を含むと2兆1000億円(230兆円)になる。イギリスでは「ハラールチョコレート」、フランスは「ハラールハンバーガー」なるものがある。日本ではイオンモール幕張新都心にはイスラム教徒用の礼拝室があり、千葉醤油はハラール醤油を販売している。ハラール市場に参入するには「ハラール認証」を受けないといけないが、これら市場を拡大するためにも日本企業はハラールと真剣に取り組まないといけないとしている。

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