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国税庁、マルサの結果を公表

昨年度の査察調査の概要をこのほど国税庁は公表した。それによると年間の査察件数は185件、そのうち脱税で検察に告発したのは118件と、いずれも前年度に比較して減少している。この原因を国税庁はリーマンショック以降の景気低迷などとしている。告発件数118件の脱税総額は117億3100万円と1件当たり約1億円である。118件の税別の内訳は所得税18件、法人税64件、相続税6件、消費税16件、源泉所得税14件となっている。告発の多かった業種は「クラブ・バー」の12件、次いで「不動産業」の9件、以下「建設業」「情報提供サービス業」「保険業」と続いている。

 

「クラブ・バー」がなぜ多いかというと、読者は、クラブ経営者は店の利益をごまかして申告しているのではと思うだろうが、最近はそうではない。真面目に所得を申告している場合が多い。では何故か。クラブ・バーで働くホステスは一般サラリーマンのように税務上、給与として課税されない。彼女らは事業所得として受取っているのである。つまり事業の売上収入として受取り、ショバ代を払う。最後は自ら3月15日までに確定申告して、収入と必要経費を記入する。支払う側のクラブ・バーの経営者はそのため、ホステスに支払う金額から10%の源泉徴収をして、税引後の金額をホステスに支払う(復興税を含め正確には10.21%、100万円超は20.42%の源泉)。そして預かった源泉徴収税を税務署に納税する。源泉税を納税するのはクラブ・バーであれ一般の会社であれ、あたり前の話だが、ここからが違うのである。

 

源泉徴収されたホステスが実際に確定申告するのは少ないのである。どちらかというと極めて稀なのである。そこに目を付けた経営者は、ホステスから源泉徴収した源泉税をネコババする。この脱税事件が多くなっている。銀座のクラブなどでは年間、1億円を超えるのは決して珍しいことではない。これぞまさしく「公金」横領である、アメリカでは実刑。

 

次に特筆すべきは「情報提供サービス業」の脱税である。「情報提供サービス業」というのは、わかりやすく言えば、全部「出会い系サイト」のことである。もともと納税意欲が希薄である。ここに国税庁は大きくメスを入れたわけだが、他に「振り込め詐欺」なども大儲けしているというので、警察に頼らず国税庁も独自調査すればと思う。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
グレン・グリーンウォルド著/田口俊樹、濱野大道、武藤陽生共訳 『暴露』 新潮社 1700円+税
ご存知、エドワード・スノーデン。アメリカ政府の秘密を暴いた。スパイ活動の実態と、権力にすり寄るアメリカメディアの現実。例えばブッシュ大統領は令状を取ることなく、国民の電子通信を傍受するよう国家安全保障局(NSA)に命じた。テロリストから「国の安全を守る」という大義から全ての行為が正当化する。
スノーデンが収集したファイルは、その量と範囲は驚くほど大きかったが、全世界の人々が交わす電子通信の全てを収集・保管・監視・分析ができるようにすることがアメリカの目的で、その目的を達成することが全世界での権力を掴むことになる。アメリカのメディアはすべて大企業に買収され、メディアのスターは高給をもらう代わりに、本来の義務を放棄し、政府のメッセージを垂れ流すことに明け暮れているとしている。

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