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サッカー選手・イニエスタの脱税事件、その後

先日ブログでヨーロッパのサッカー選手の申告漏れが相次ぎ、大阪国税局の摘発を受け大変な騒ぎになったと伝えた、その中で元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ選手の来日年は、日本の非居住者として20%の源泉徴収税だけですまし、翌年からは複数年契約であるので、日本居住者として、日本で確定申告してきた。ところが国税局は来日年も日本の居住者であるとして、8億6000万円の申告漏れを指摘してきたのである。報道によると、いかにもイエニスタ選手が税逃れのように映ったが、彼はまじめな納税者であることが判明した、つまり純粋にその年はスペイン居住者であるとして、スペインに申告していたのである。税務上、居住者、非居住者の定義は国によって違うのである。アメリカでは年間滞在日数によって判定するが、各国まちまちである、モナコなんかは年間4回自国を訪れるだけで、モナコ居住者として申告できる。最高税率は17%であるので、世界を転々とするプロテニスプレーヤーやF1レーサーなど多くの高所得プレーヤーの居所でもある。アイルトンセナや伊達公子なども有名である。日本国は日本の居住者の判定は滞在日数ではなく、生活の本拠がどこにあるかで決まる。つまり家族の居場所である。本人だけ日本でプレーするだけなら単身赴任の選手であるが、奥さんも日本にいるとなるとその時点で、立派な日本居住者となるのである。
今回のイニエスタ選手だが、来日した2018年のスペインの申告では、日本で得た8億6000万円を本国で申告していたことが分かったのである、スペインでは完全に正しい申告をして税金を払っているのだが、日本は日本の居住者だから55%の税金を払えと立件をした。つまり「二重課税」である。どちらにも居住者として税金を払えば、手取りが無くなる。当たり前だ。租税条約上二重課税は排除している。それではイニエスタ選手はどうすればよいのか、残念ながら個人の裁量や税務署の判断で二重課税は解消されない。二重課税問題の解消はスペイン・日本の国税当局の二国間の相互協議で決まるのである。イニエスタ選手は両国に申し立てを行い、スペインも日本もOECD加盟国であるので共通の法的土台があるが、申し立てを行う前に、まず両国の主張通りの税金を払ってからである。スペインでいくら払ったのかは知らないが、少なくとも日本では6億円の税金を納付したうえでの申し立てである。意図して脱税したわけではないが、この6億円を取り戻すにはイニエスタ選手が勝たなければならない、この種の解決までは4年がかかる。移転価格税制もそうだが国際間の税金問題は何年も解決に要する。国と国の損得の争いだからであるが当事者はたまったものではない。高級取りのアスリートは日本での税理士選定にこれからは気を付けるであろう。すでに野球選手などはこの種の問題は聞かれない、税理士選定に情報があるからだろう。世界的有名サッカー選手でも6億円は痛いと思うが。

推薦図書。
古屋星斗+リクルートワークス研究所著 「『働き手不足1100万人』の衝撃」 プレジデント社 1760円
今の日本で、賃上げ、雇用難など人手不足を報道するテレビが溢れる。リクルートワークス研究所では「未来予測2040―労働供給制約社会がやってくる」という報告書を発表した。つまり社会を維持するために必要な働き手を供給できなくなる。2040年までは労働需要は今のままで横ばいが続く。労働供給は2027年から急激に減少し、2040年には1100万人不足する。2040年には物流・医療をはじめあらゆる分野で人手不足になる。日本全体では生活維持サービスに多くの労働力を回さないとならないので先端分野への供給が後回しになるのでイノベーションを起こす余力がない。それでは将来どうなるのかといえば消費者と労働者の境目があいまいになり、お金を払ってもサービスが受けられない場合が増え、働き手が神様の社会になるとしている。

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