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休廃業の1位は「税理士事務所」

このほど帝国データバンクは2023年に不況、後継者難、倒産などにより廃業した業種別を発表した。発表されたデータを見ると、前年度比で最も高かったのは170%増の税理士事務所だったことが分かった。2位は85.5%増の一般機械修理、以下③書店④はつり解体工事➄中古車販売⑥パッケージソフトウェア⑦金物卸売業⑧金型製造業⑨美容業⑩時計めがね光学機械小売業と続いている。時節柄ベストテンに入っている業種はわからないでもない。IT、AI化で急速に変化している日本経済だ。ただ、風俗、飲食業などがランクインしていない。しかし美容業が入っている。書店も町の商店街ではほとんど見なくなった。大型書店や大型ショッピングモールの中にあるのが目立つ。断トツの1位はなぜ税理士事務所なのかを考えるに、明らかな原因の一つは「インボイス制度」の導入である。昨年10月から導入されたが、年間売上1000万円以下の事業者にも消費税の申告を義務付ける法律である。零細企業をいじめるわけではないが、月売上数十万円の事業者がターゲットである。その手続きを引き受けているのが、主に税理士事務所であるが、作業・業務量が著しく増加したにも関わらず、顧問料に転嫁できていない。業務負担の割には収入が上がらない。今後のことを考えるに明るい材料が見いだせない。つまり、あきらめ事務所といわれるゆえんだ。帝国データバンクの発表では閉鎖した事業所の財務状況は債務超過ではなく6割が資産超過であるのが特徴である。コロナ禍でも持続給付金、雇用調整助成金などで維持できてきたが、2023年に入ってこれらの支援金が無くなって、しかも電気代や仕入れ代金の値上げ、人手不足による人件費急騰である。これらを踏まえ事業継続か否かの背中を押したのではないかとみられている。税理士事務所は税理士の高齢化、競争激化による顧問料の減少に加え「インボイス制度」である。むりやりインボイス登録した零細事業者からである、インボイス登録した適格請求書発行事業者から、インボイスの要件を満たした請求書や領収書を受け取り、それらを処理、保管しなけばならない、今までなかった労力、事務量は膨大で、あらゆる事業者に新たな負担を強いるが、なかでも税理士事務所は最も負担を強いられる業種である。月数十万の売上事業者に顧問料の値上げを請求できない事務所が多い中、しわ寄せさせられることにあきらめ、そして廃業、なんとも悲しい統計数値が帝国データバンクから発表されたものだ。私の税理士事務所は何とか踏ん張っているので、来週もブログが書けるであろうと思っている。
☆ 推薦図書。
古屋星斗著 「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか」日経BP 1760円
若者の育成が問題となってきている。残業をしない、人付き合いをしない、会社が嫌なら辞めればいいと思っている。まず「Z世代は存在しないのだ。Z世代は他の世代に比べて、価値観が二極化そして多様化している。」「最近の若者はこうだから、こう育成しようという発想は、もはやダメである。反対に働き方改革関連法などにより、労働環境が好転した。だが“ゆるい職場”では自立するための経験が積めないという「キャリア不安」が若手に生じ、離職希望者が増えている。「キャリア安全性」を高めなければならない。キャリア安全性は3要素で形成されている。①時間視座(このまま仕事をしていても成長できないかも・・)②市場視座(このまま仕事をしていても転職できないかも・・)③比較視座(周りの同年代と比べて自分は大丈夫だろうか・・)こうした不安を職場が解決しないといけない。ゆるい職場時代の人材育成の科学書である。

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