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ゴルフ会員権相場、大暴落

ここにきて、日本のゴルフ会員権の相場が急落している。何故なのか?平成26年度税制改正のせいである。今までは、ゴルフ会員権を譲渡して損を出しても、他の所得との損益通算はできた。つまりゴルフ会員権を売って500万円の損がでても、他の所得(例えば給料)が800万円であれば、差引き300万円の年間所得になって、サラリーマンであれば相当な税金の還付があったのである。ところが今年の4月1日以降からは、この損益通算を認めないという税法改正がでた。従って4月までの売り急ぎが急増したというわけである。

 

アカデミックに解説すると所得税法62条、69条2項に損益通算を認めないものとして

(1)競走馬、その他の射こう的行為の手段となる動産

(2)居住の用に供しない家屋で主として趣味娯楽または保養または鑑賞の目的で所有する不動産

(3)貴石、貴金属、真珠、書画、骨董及び美術工芸品等で30万円超のもの、その他生活の用に供する動産のうち生活用動産以外のものについては

「生活に通常必要でない資産」として、その譲渡損失と他の所得との損益通算ができない、とある。

 

平成26年度税制改正で、「生活に通常必要でない資産」の範囲にゴルフ会員権が加えられることになった。はたして、そうであろうか。今まで60年余り、ゴルフは生活に通常必要であると法は認めてきた。ここに来て政府は手の平を返したが、これは財政の問題だけであろう。少しでも税収をあげるための改正である。

 

これがアメリカなら大問題だ。アメリカのゴルフ場は、ほとんど住宅地のど真ん中にある。これはジョギングと同じ、スポーツなのだ。通常、早朝から朝食をゴルフ場は用意して地域住民のための健全な運動を提供する場として成り立っている。単なる趣味、娯楽を超えている。アメリカでこのような損益通算を認めないとなると社会問題になる。

 

しかし日本では、3月末までの売却しか損益通算を認めないとしている。法律で仕方がないにしろ、この暴落で日本各地の会員権が値下がりしているが、この会員権も所有者が死ねば相続税の対象である。所得税収入は一時的に回避されるが、相続税は減収である。死ぬまで待てないということか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆

ロム・ブラフマン著 藤島みさ子訳 『トンネラーの法則』 阪急コミュニケーションズ 1,680円

どんな環境にあっても、不遇であっても、粘り強く生き、成功する。この逆境を克服する人々はトンネルをくぐり抜けるかのようにできるので「トンネラー」とも呼ぶ。

有名ファッションデザイナーのエリー・タハリは幼少時、親が離婚し、孤児院を転々としたが、20歳にニューヨークへ。金がないのでセントラルパークのベンチで毎晩寝たが、「寝る場所がなくて困ったと思ったことはなかった。キャンプをしていると思っていたね」。トンネラーは「この状況を打開するために自分にできることは何だ」と考える。そして何もかも絶望になった逆境の時、ユーモアが大切だ。自分の置かれた状況が客観的にわかる。この本はなんだか、あのスティーブ・ジョブズに通じるものがある。

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