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ビルゲイツ氏の離婚、日本で報道されない事柄

ビル・ゲイツ氏が5月3日にメリンダと離婚したと発表した。ゲイツ氏は、1987年大学を卒業後入社してきたメリンダ に惹かれ、1994年に結婚した。ゲイツ氏は2006年からマイクロソフト社の会長に就任しているが、2000年以降は、マイクロソフト社内の女性との不適切な関係が取りざたされるようになったと言われている。その後2011年に、未成年少女の性犯罪で逮捕され、その後刑務所内で自殺した超富豪Jeffery Epsteinと友人になり、2019年10月にはEpstein との関係が表沙汰になった。メリンダは性犯罪や変態趣味者と仲良くなる夫に我慢が出来ず、その時から離婚専門の弁護士に相談を開始したと言われている。ゲイツ氏は2014年には会長職を辞し、今年2021年3月には役員も辞任した。
興味があるのはゲイツ氏の財産だが、1300億ドル(15兆円)と言われている。殆どの金融資産はゲイツ氏がコントロールをするCascade Investment LLCにより運用され、投資先の一部はAutoNation、Berkshire Hathaway、Canadian National Railroad, Coca-Cola Femsa, Deer & Co.となっており、この他アトランタ、ヒューストン、メキシコのフォーシーズンホテルも所有している。
不動産ではシアトルの私邸はLake Washingtonのほとりにあり、Xanadu 2.0と呼ばれ、 66,000 SF(1万9千坪)、7寝室、6台所、24バスルーム、6暖炉あり、その評価額は1億3114万ドル(150億円)と言われている。また、乗馬で有名なフロリダ州Wellingtonには2013年から不動産を購入し初め、2019年には合わせて30エーカー(3万7千坪)、5900万ドル(60億円)ほどの不動産を購入している。この他に長距離飛行の出来る1機4500万ドル(50億円)するボンバルディアBD700 Global Express Jetを2機所有している。また、ポルシェのファンでもあり、911、930ターボ、959を所有、最近では電気稼働のTaycanも購入している。勿論、フェラーリやジャガーも所有しているのだが、通常ベンツに乗り、家族と乗る時はミニバンを運転すると、彼は言っている。
美術品では、1994年にダヴィンチの手書きの文書、Codex Leicesterをオークションで3008万ドル(35億円)で購入している。これはダヴィンチの科学的発見や考えたことを書き残したものである。絵画でも1996年にAndrew Wyethの Distant Thunder を700万ドルで購入したのを皮切りに1999年に George Bellow のPolo Crowdを 2800万ドルで購入するまで、毎年購入し総額1億ドル(100億円)は下らない。もちろん慈善活動では The Bill & Melinda Gates Foundationを設立し、その財団は2019年には資産499億ドル(5兆円)と言われている。今までの支出総額は548億ドル(6.5兆円)に上り、ゲイツ氏は1994年から2018年の間に360億ドル(4兆円)寄付し、2019年だけでも519万ドル(5500億円)の寄付をしている。
離婚直後8億5000万ドル(900億円)相当のDeere株がメリンダに移転されており、既に合計30億ドル(3300億円)ほどがビルゲイツからメリンダに移転している。この二人には婚前財産分与契約はないということだが、財産は半分にすることですでに合意しており、裁判所によればSeparate Agreementにより財産分与を行うとされている。このSeparate Agreementでは細かく財産をどう分けるか決めるわけだが、離婚協議は少なくとも1年以上前から行っていたと推測される、いや、もっと前からだと私は思う。ゲイツ氏の女性関係も、今に始まったわけではなく、やはり一番の問題は性犯罪者Epsteinとの関係が決定的に離婚に追いやった。どうしても、家族として、子を持つ親として、メリンダには許せなかったのである。

☆ 推薦図書。
浅田次郎著 「おもかげ」 講談社文庫 840円+税
久しぶりに文学小説を読むのも良いものだ、コロナ禍の世の中、私は空いている新幹線の車中で楽しんだ、氏の著書は私と同年代の人々が登場するのと、文体がしっかりしている割には、柔軟な文章を書くので、非常に参考となる。
物語は、エリートサラリーマンとして定年まで勤め上げた主人公は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。家族や友人が次々に見舞いに訪れる中、主人公の心は外へとさまよいだし、忘れていた様々な記憶が呼び起こされる。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、などなど・・・。胸に熱いものがこみ上げてくる浅田次郎ならではの、傑作本である。たまにはビジネス書を離れてこのような本に浸るのもありがたい。

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