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宝くじと税金、アメリカ

今週PowerBallという宝くじで10億.8000万ドル(1400億円)の当選者が当事務所のあるロサンゼルスで出た。メディアでは、この10.8億ドルという金額は、昨年の20億ドル、2016年の15億ドルに次いで3番目に大きい金額だとされ、連日ビリオネアになる当選者は誰なのかと報道されている始末だが、今のところ、まだ誰も名乗りを上げていない。メディアではビリオネア(10憶ドル=1350億円)という言い方をしているが、アメリカの宝くじの仕組みは日本と全く違う。もし一括で当選金を受取るとなると、その金額は5憶5581万ドル(770億円)となり、ビリオネアからは程遠い金額になる。定期金として受取るのが原則で、その場合は30回支払いで、29年にわたり支払いが行われ、その合計金額は当選金額に最も近い金額となる。
以前もアメリカの宝くじについて解説したことがあるが、多くの当選者は直ぐにお金を使える一括支払いを選んでいる。但し、今回の場合は、IRSは24%の源泉徴収を行う為、(日本は非課税)更に源泉徴収金額133,944,000ドルを差し引いた4億2415万6,000ドル(590億円)が手取りとなる。但し、税金はここで終わりとはならない。アメリカの場合、年所得が独身者であれば、578,125ドル、既婚者であれば693,750ドル(9700万円)を超えると連邦税率は37%になるので、この差額13%、つまり、7255万3,000ドル(101億円)もの大金を翌年の申告期限の4月15日までに納税する必要がある。
ここでは連邦税だけでも、2億647万7,000ドル(290億円)を支払うことになり、手取りはわずか3億5162万3,000ドル(492億円)となるわけだが、ここでも税金が終わるわけではない。次は、州税である。今回当選はカリフォルニア州で行われたので、当選金には課税されないのでラッキーだ。これは少数派である。アメリカでは、カリフォルニア州の他フロリダ、ニューハンプシャー、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ワシントン、ワイオミングの8州では当選金に課税はされない。しかしNY州であれば10.9%課税される。結局、どんどん手取りが少なくなる。アメリカでは宝くじといえども、いかにTax Planningが必要かということがよくわかる。
よく宝くじを会社の仲間で共同購入するケースが日本ではあるが、アメリカの場合、当選した場合、注意が必要である。必ず書面で当選金の分配の詳細を記載し、いつでもIRSに提出出来るようにしておかないと、IRSはある一人が購入し、当選金をもらい、これを仲間に贈与したとして贈与税を課す場合があるのである。アメリカでは、宝くじの収入は2021年度で1052.6億ドル(14兆円)と言われ、この収入の1/3は州政府に入り、州政府に取って莫大な収入となっている。一方でNY Timesによれば、年収1万ドル(140万円)以下の世帯が年間597ドル(8万5000円)もの宝くじを購入していると報道している。統計上PowerBallの当選確率は2億9210万に1人と言われ、殆ど当選しないわけだから、別の見方によれば、明らかに低所得者層への課税だと言えるのではないかとしているが、日本の場合、競馬、競輪、競艇も、それに近いのではないだろうか。

☆ 推薦図書。
白井一幸著 「最強の組織をつくるすごい思考法」 アチーブメント出版 1375円
著者はWBC侍ジャパンのヘッドコーチである。私は白井氏を日本ハムファイターズのコーチ時代から存じ上げているが、およそプロ野球選手とは思えない体格、身のこなし、振舞の人で、丸の内のサラリーマン風である。なぜ侍ジャパンが世界一になれたのか、そこには「最良の人間関係」を構築し「個人の力」を最大限に引き出す3つの原則があった。栗山監督、白井ヘッドコーチ、大谷修平、ダルビッシュ皆日本ハム出身である。栗山・白井コンビで、まずは全員が目的・目標を自分事として共有する事。2つ目は全員が役割と責任を全うする事。この二つができることが理想だが現実はそうはいかない。そこで3つ目として関わり会う必要が出てくる。この関わりかたを間違えてしまうとパワハラになったり、人間関係が崩れる。ヒットを打てなかった。三振を取れなかった。エラーをした。これらはすべて結果である。勝ち負けは結果だ、指導者が焦点を当てなければならないのは、結果ではなく成果である。結果を見据えるのではなく、高い成果を出し続ければ、成功する確率は高くなる。スター選手を抱えているアメリカとの試合で「あの強豪だから仕方がない」と負けを相手のせいにしてしまう傾向がある。アメリカとの決勝戦での円陣で大谷は「スター選手が勢ぞろいしているが、今日1日だけは彼らへのあこがれを捨てて、勝つことだけを考えてゆきましょう」試合で活躍する事だけがチームに貢献する事ではない。チームに貢献できることは何かを考えて、行動するこれがリーダーシップだ。それにしても、この本でも栗山監督を持ち上げるのは、さすが白井さんと思ったのである。

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