ブログ

Net Investment Income Tax(NIIT)の増税とは

最近ウオールストリートジャーナル(WSJ)にてNet Investment Income Tax(NIIT)の税収の増加が著しいという記事が躍った。日本ではなじみがないが、このNIITとはAdjusted Gross Income (AGI ): 一定の調整項目による調整後の年収、日本では、さしずめ所得控除後の所得)) が独身であれば20万ドル(2800万円)、既婚者であれば25万ドル(3500万円)超の納税者に対し、利息、配当、キャピタルゲインに対し追加的に3.8%かかる付加税のことである。3.8%自体は大きな税率ではないが、特に富裕層にとってはボディブローのように効いてくるといわれる税金でもある。
このNIITは昔からある税制ではなく、オバマケアに対する財源確保の為、2013年より施行されており、この独身者20万ドル、既婚者25万ドルの基準額は実質的な税収を増加させる為、アメリカでは珍しくインフレ調整が行われていない。その結果、その税収は2013年には60億ドル(6000億円)であったものが、2021年には600億ドル(8兆円)となり3倍以上に達している。また、同期間でこのNIITの対象となる納税者数も300万世帯から700万世帯まで増加している。(ちなみに日本でこの基準を当てはめると50万世帯もない)
このNIITの対象となるのは利息、配当、キャピタルゲイン(仮想通貨、不動産売却も含む)、ロイヤリティー等だが。自宅の売却の場合、キャピタルゲインから独身者の場合25万ドル(3500万円)、既婚者の場合50万ドル(7000万円)まで居住財産の譲渡控除が可能となる。一方、NIITにカウントされない収入としては、給与所得、年金、ソーシャルセキュリティ、免税債からの利息収入、更にパートナーシップ、S Corp(この制度も日本にはない)からの収入となるが、バイデン大統領はこのパートナーシップ、S Corpからの収入をNIITの対象としたいようである。
Investment incomeは納税者の通常の給与所得に上乗せされる為、個人年金や、その他の課税所得があれば、AGIの20万/25万ドルを超え、NIITを払うことになるかも知れない。例えば、リタイアしている夫婦の年金、ソーシャルセキュリティ(年金)の年間収入が245,000ドル(3400万円)あり、利息収入が15000ドル(210万円)あったとすると。この利息収入の内、5000ドルまでは年収25万ドル以内なのでNIITの課税対象とはならないが、超えた部分の1万ドルにつき追加的に3.8%の380ドルのNIITが発生するというわけだ 。同様に、独身者のAGIが15万ドル、株式売却で8万ドルのキャピタルゲインがあったとすると、内5万ドルは非課税枠20万ドルに入るが、3万ドルについては3.8%、即ち1140ドルを追加的にNIITとして払うことになる。
このNIITについてはTraditional IRA, 401K, Health Savings Accountへの積立てによりAGIを減額出来、NIITを軽減出来る一方、確定申告Schedule A上での住宅ローンの支払利息、治療費、慈善団体への寄附 はNIITの軽減にはならない。このため節税方法として、金額が大きくなるキャピタルの売却を行う場合、年収が20万/25万ドルを超えるので、投資の売却を1年で行わず、数年に分けて行う等、アメリカ人も必至である。

推薦図書。
チャールズ・M・シュルツ 訳 谷川俊太郎 監訳 枡野俊明 「心をととのえるスヌーピー」 光文社 1430円
この本は見開きの各右ページが、漫画のスヌーピーの4コマ漫画で、セリフが英語で書いている。スヌーピーの漫画は「禅に通じるもの」で「自然の摂理の中に真実の声を聞くこと」は禅の基本、しかも色彩はモノクロである。禅文化の水墨画もそうであるが、墨で描かれていても、熟した橙色に見えたり、青々とした若い果実にもなる。それと似た現象がスヌーピーのコミックにはある。このコミックには白い部分がきちっと残されている。その働きが「ピーナッツ」だ。4コマコミックを右に見ながら、禅は達磨大師から数えて六代目、六祖恵能禅師から大きく広がり、今の私たちに伝わっている。禅で「ピーナッツ」の世界を読み取り、そうすれば「ピーナッツ」をもっと好きになり、禅をもっと身近に感じられるという企画の本である。4コマで英語の勉強ににもなる。

関連記事

  1. アメリカの確定申告書の処理、大幅遅れ。
  2. アメリカ議会の高齢化が問題
  3. 国外脱出するか富裕日本人?アメリカでは
  4. 雇用者か事業者か? アメリカ・カリフォルニア州での争い
  5. 日本の法人税収、コロナ禍で増収
  6. IRSの税務調査、対象の選定はどうしているのか
  7. アメリカ来年度税制、大統領でこう変わる
  8. 日本人の特別優遇廃止、日米租税条約により

アーカイブ

PAGE TOP