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国税庁、超富裕層の囲い込みは、今年7月から

相続税をなくそうとするアメリカに比べ、日本は相続税の強化に乗り出している。平成27年1月1日以後から、亡くなった人に相続人が3人いたとすると、4,800万円以上財産を持っていると相続税がかかる。

 

このほど国税庁は、平成27年1月1日以後に亡くなった人の相続税の課税状況(相続税白書)を公表した。それによると、一昨年に相続税がかかった被相続人の数が5万6,239人から、平成27年以後死亡した被相続人で相続税がかかった人は何と10万3,043人と、ほぼ倍増である。課税割合が8.0%と有史以来最高を記録した。今年は更に増えるだろう。申告者の遺産総額も14兆5,554億円と、これも過去最高記録。まさに日本の相続税は大衆課税となった。

 

そのなかで、さらに国税庁が公表した「国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向-」。これによると、企業や個人の海外取引の増加による経済社会の国際化、BEPSプロジェクトの進展やパナマ文書の公開等による国際的な租税回避に対応するため、国税庁は「情報ソースの充実」「調査マンパワーの充実」「グローバルネットワークの強化」の3本柱で取り組むとしている。

 

超富裕層プロジェクトチーム(PT)は従来からも積極的な資料情報の収集や調査を行っていて、東京、名古屋、大阪の三国税局で設置してきた。「情報リソースの充実」では国外財産調書で国外に5,000万円以上の財産を所有している者を把握しているというが、今現在、その申告者数は8,893人となっている。私見ではあるが、ケタが2つほど違うのではないか。この数字だと世田谷区だけの富裕層かと思われる。国税当局も同様に思ったのか、この人はと思った者に「あなたは国外財産調書を提出しなければならないですよ」と、つまり文書照会なるものを送付した。しかしその件数は何と、1年間でたったの3,619件である。これでは国税局は海外資産を持っている者をほとんど掴んでいないということになる。しかも、文書照会を受け取った者のうち3,000件が無視、あるいは提出義務がないと回答してきたという。国税局もなめられたものだと思う。

 

「情報リソースの充実」だというが、海外のどの国が日本の徴税のために協力してくれるというのだろうか。他国のために自国にある外人の財産を進んで報告する国は少ないだろう。アメリカなどは、初めから拒否である。また「調査マンパワーの充実」として国際担当の局統括国税実査官や国際調査課の充実をいっているが、そもそも英語で外国の政府や海外の金融機関とわたりあえる者がどれほどいるのだろうか。現実はほとんど機能していない。財産が海外に逃げ込んだとわかっても捕捉できないのが現実だ。国税当局の人材育成が急務である。私は祈るばかりである。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
小黒一正著 『預金封鎖に備えよ』 朝日新聞出版 1,500円+税
日本の財政は破綻寸前である。しかも消費税率の引上げを見送っている。多分2019年10月に10%となる予定も、同年の参議院選挙を控えて引上げはしない。財政再建には3つの方法がある。「増税」「歳出削減」「経済成長」。しかし人口減の日本に「経済成長」は望めない。年金や医療費は高齢者人口が増加するので歳出削減は望めない。「増税」も消費税引上げを放棄している。今や1,000兆円、GDPの200%の国債を抱えていてどのようにして乗り切るのか。
戦前、日本は軍事費増大で今と同じ、債務がGDPの200%を超えた。1944年(昭和19年)に204%であったのが、1950年には14%にまで縮小した。なぜか。1946年にインフレ率が433%、そこで「金融緊急措置令」と「日本銀行券預入令」が発布された。そして財産税が導入され、1,500万円超の財産には何と90%も課税され、預金封鎖が行われ、1か月に生活費として標準世帯で500円しか預金がおろせなくなった。つまり、国民犠牲のもとで国の債務を返済したのである。
戦前GDP比200%の国債を発行した当時、国民が心配したので政府は「隣組読本、戦費と国債」という小冊子を発行した。それには「国債が沢山殖えても全部国民が消化する限り、すこしも心配はないのです。国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民が其の貸手でありますから、国が利子を支払ってもその金が国の外に出て行く訳でなく国内に広く国民の懐に入って行くのです。従って多額の国債を発行しても、経済の基礎がゆらぐような心配は全然ないのであります」と書かれていた。
そして、その国債は紙くずになり、結果、政府の莫大な借金は国民が背負うことになり、発行元の政府は何ら責任を取らなかった。しかし今も、その「心配」は現実のものになってきたのではないかと。

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