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アメリカ、来年度税制改正案発表

日本の税制改正案は12月の第3週に発表される予定だが、アメリカ与党共和党の下院House Ways and Means Committeeによる税制改正案であるThe Tax Cut and Jobs Actの発表があった。

 

Wall Street Journalでは、所得税関係では今までの7段階(10,15,25,28,33,39.6%)から4段階(12,25,35,39.6%)となったが、トランプが言っていた最高税率の引下げが見送られた。しかし、夫婦合算所得が47万700ドル(5100万円)超の者に適用されていたのが、100万ドル(1億1000万円)超となる。株式譲渡益や配当の最高税率は現行の23.8%を維持する。廃止を掲げていた相続税は、とりあえず基礎控除を一人560万ドル(6億1000万円)、夫婦で1120万ドル(12億3000万円)に引き上げた上、この額を超える額には40%課税を行う。そして2024年には相続税を完全に廃止するとした。

 

今回の改正案で特に問題なのは所得控除である。アメリカは、納税者は概算額控除(Standard Deduction)か項目別控除(Itemized Deduction)か有利な方を選択できることになっている。項目別控除には、州税(地方税控除は日本にはない)、固定資産税(日本にはない)、住宅ローン控除、寄附金控除、医療費控除などがあるが、改正案では、州税の控除が廃止され、固定資産税は上限1万ドル(110万円)までの控除、住宅ローン控除の対象は、ローン金額100万ドルから50万ドル(5500万円)に引下げられた。寄附金控除はそのままだが、医療費控除は廃止となった。

 

この中で大騒動となったのが州税の所得控除廃止だ。ネバダやワイオミング、テキサスなどの州はもともと州税がないので問題ないが、ニューヨーク州、ニュージャージー州やカリフォルニア州のように州税が高い州では、所得控除ができなくなるわけで、これらの州選出の共和党国会議員は大反対運動を起こしている。その見返りとして、トランプ政権は概算額控除を2017年の1万2700ドル(150万円)から2万4400ドル(270万円)に増額している。

 

一方、法人税だが、最高税率は35%から、一気に20%まで下がる。またS Corp、LLC、Partnershipのようなパススルー課税は、実際は個人所得税として課税されるので、実態は最高税率39.6%だが、これが25%に下がる。支払利息については、日本と同じく全額損金だったのが、EBITA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)、つまり、キャッシュフローの30%までと上限が設けられた。多国籍企業にとって海外の子会社に対し10%の課税、アメリカで稼いだ利益を海外に送金するような場合には20%の課税。一方、アメリカの海外子会社からアメリカ本社に送金する際には35%課税があったが、改正案では海外の利益に対し5~12%のOne Time課税をし、資金をできるだけアメリカ本土に還流させる意図である。

 

アメリカでは個人の富裕層はパススルー課税が多く、そのことではトランプ政権は富裕層に配慮したものであり、相続税の近い将来の廃止もそうである。日本の所得税の最高税率は45%、しかも住民税は10%かかる。アメリカは、今回の税制改正では最高税率は実質25%となる。ラスベガスなどに住めば、いくら所得があっても税金は25%で済む、一方、日本は55%もかかる。日米の富裕層にとって、あまりにも格差があると考えるのは、私だけではないであろう。

 

 

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