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アメリカの銃器犯罪と政治

今回は税金の話ではない。テキサス州の小学校でまた悲劇が起きた。18歳の犯人は祖母を襲撃し重傷を負わせた後、小学校に立て籠り、その間100発以上を発砲、何の罪もない小学生19人、先生2人を殺害するという大惨劇となり全米を震撼させた。10年前にもコネチカット州のSandy Hook小学校で20歳の犯人が母親を殺害後、20人の子供と6人の大人を殺害したという悲劇があり、この10年間何も変わっていない銃規制に落胆の声が聞かれる。
Bloombergによると、2018年のSmall Army Surveyでの報告ではアメリカでは3億9330万もの銃が民間で所有されているとしていて、この数はアメリカの人口3億3千万人を上回る凄い数字である。これは世界で断トツの第一位である。なかには趣味の収集で100丁以上持って、家にコレクションしている者もいる。2位は人口14億人のインドで、その銃保有数は7110万となっている。この米国の銃の保有数は2020年初頭より更に膨れ上がっており、銃の購入を記録するThe National Instant Criminal Background Check Systemというのがアメリカにあり、FBIがこの数字を収集しいるが、驚くことに、2020年に前年度比なんと40%増加した、原因はアメリカ議会が銃規制に大きく乗り出す懸念から、駆け込み購入が増えていると言われている。現に銃メーカーのSmith & Wesson Brand Inc.及び Sturm Ruger & Coの株価は上昇傾向にあり、Small Arms Surveyによれば、世界でアメリカだけが市民の銃所有が突出し、100人当たり120.5の銃を所有、イエメンが52.8、カナダが34.7、フランス及びドイツが19.6、日本やインドネシアは1未満となっている。
このような非劇がテキサス州で発生している中、27日から3日間、ヒューストンでThe National Rifle Association (NRA)の年次総会が開催された。この総会のスピーカーはトランプ前大統領、アボット州知事、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出・共和党)らが名を連ねているが、このクルーズ上院議員は、「民主党はこの悲劇を利用し、銃器規制を強化し政治化しようとしている。それはうまく行かない、効果的ではない、犯罪を予防できない」と言っている。一方で、今回の総会では、テキサス州法で通常許可されている銃の携行は不可とされた。これはトランプ前大統領が出席するということで、シークレットサービスによる制限が課された為だそうだ。
より強い銃規制を支持する団体Moms Demand Actionの設立者は、小学校で悲劇的な銃撃事件が起こった数日後に、NRAはテキサスで年次総会を行なう。トランプやNRA幹部がスピーチを行う場所で銃器の持ち込みは禁止されている。誰かが彼らを銃で殺すかもしれない懸念があるからだとツイートしている。クルーズ上院議員のコメントが皮肉に聞こえる。アメリカでは修正憲法第2条で保障された銃の携行による身を守る権利が保障されており、これを楯に共和党議員及びロビイストたちは必至に銃規制に対抗している。しかし、今、使用されている銃は西部開拓時代のジョンウエインやスティーブマックイーンが映画で使っていたような粗末な拳銃ではない。何百発の銃弾を発砲出来る自動小銃である。この犯人はこのような自動小銃を2丁購入し、100発以上発砲し、彼の車には300発以上の銃弾が残されていた。この犯人は18歳になると直ぐに自動小銃を購入した。どうして、18歳の少年が自動小銃や何百もの弾丸の購入が出来るのか理解不可能だ。しかしテキサス州の法律上何ら問題はない。今回の事件の前年に、テキサス州では銃規制を緩和する法律を議会で通過させたばかりであった。このまま何人の子供たちが殺されなければ、銃器規制の強化はされないのか、今度こそアメリカ市民の民意が世界注視で試されている。

☆ 推薦図書。
遠藤誉著 「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦争」 PHP研究所 1078円+税
著者は吉林省生まれで筑波大学名誉教授である。この戦争により、中ロの蜜月時代は終わった。報道管制が得意な中国でも、連日中央テレビで、ウクライナの街の惨状とウクライナ国民の嘆きを大きく取り上げ、ゼレンスキー大統領の悲痛な呼びかけを毎日毎日テレビ報道し、プーチン大統領の悪役ぶりを少しだけ報道する。中国は立場上、国連でもそうだが、あからさまに「ロシアの侵略は認められない」とは言えない。従って中国の国営放送を通じて「中国はウクライナ側についている」と言いたいのだ。中国にとってウクライナは「一対一路」で重要な友好国である。しかしロシアの最大の貿易相手国はEUで、EUがロシアからの輸入のほとんどはエネルギー資源である。このようにG7で対ロ制裁で貿易を封鎖した場合、ロシアはその分を中国に売らなければならない。当然中国は格安のエネルギー資源を手に入れることができる。またウクライナ侵攻で中国は台湾に軍事介入するとの見方があるが、それはない。今の軍事力でアメリカに勝てないのは中国一番わかっているからだ。

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