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ロシア侵攻による世界経済への影響、Forbesの見解

資金運用会社のBlackRockの Larry Fink 氏及び Oak Tree Capital Managementの Howard Marks 氏がロシアのウクライナ侵攻によるグローバリゼーションの終焉と世界経済に与える影響につき顧客向けのAnnual Letter にて、似たような発言をしているとForbesに載った。
Larry Finkは 、今回のロシア軍によるウクライナ侵攻は、過去、世界が享受してきたグローバリゼーションとソビエト後の平和な時代の終焉を象徴しており、世界経済に半永久的な影響を与えるだろうと警告している。今回のアメリカ及び西欧諸国による経済制裁はロシアをグローバルエコノミーから切り離すことになったわけだが、ロシアの侵攻により、既にパンデミックにより、ストレスのかかった様々な国々とのクロスボーダーのつながりを公に破壊することになったのである。これにより世界中の会社や政府はグローバリゼーション化した様々な国々との経済的依存を再検討し、製造や組み立ての影響及び範囲を、再度分析仕直す必要に迫られている。今回の戦争は多くの長期的な経済的影響を世界にもたらし、この反グローバリゼーションはインフレを更に悪化させ、中央銀行は今後価格の上昇か経済活動の鈍化かのどちらかの難しい選択を迫られることになるだろうと予測している。
また、Oak Tree CapitalのMarks氏も、世界的なインフレと経済活動の鈍化が起こると言っているが、特に振り子という言葉を使い、今回のロシア侵攻による経済的な影響を説明している。もともと200-300年前は鉄道も自動車もなく生産も消費が行われる場所に限定されていた。ところが鉄道や航空機の発達によりその必要がなくなり、労働需要の高い所で生産を行い、消費需要が高い所に運ぶということが可能になった。第二次世界大戦後は国境を越えて安い労働力のある国に生産拠点が移動し、安い製品を提供することになり、アメリカのインフレ率低下にも寄与した。一方で、これらの低価格、低インフレは、アメリカでは到底受け入れられない、低賃金、長時間労働、劣悪な労働環境等の発展途上国の犠牲の上にアメリカ経済は成立してきたのも事実である。
キャピタリズムは常に収入を伸ばす欲望があり、グローバリゼーションは常に低いコストで生産できる場を提供してきた。このキャピタリズムとグローバリゼーションが大きな力となり、過去50年間世界経済に大きく貢献してきた。パンデミックにより世界が台湾や韓国に半導体を依存することが問題になり、ヨーロッパもロシアからのエネルギー輸入に依存することが問題になってきた。ヨーロッパでは域内でのエネルギーの代替として、ドイツでは原発の再稼働が必要になる。第二次世界大戦以降急速にグローバリゼーションに振れていた振り子が、今度はローカルソーシングに振れだし、また、安全に資源や商品の供給を受ける国を探すことになる。その過程で今後長期的にインフレの増大、成長率の鈍化等が生じるのは必然。この振り子がどこまで振れるのか神のみぞ知るということだという事である。

☆ 推薦図書。
マーク・ロビンソン著 月谷真紀訳 「政府は巨大化する」日経BP 3850円+税
437頁にも及ぶ本である。原題はBigger Government 。コロナ禍で財政支出は極度に増加した。その他、気候変動、医療費の増大などが並ぶ。しかし何といってもコロナ禍前に国の債務が未曾有の水準にあったのに、この政府支出をコロナ後も続ければどうなるのか。医療費、医療開発費、高齢化による介護、年金の増大、地球温暖化対策費、さらには増え続ける貧窮層への補助金もある。いずれは債務危機やインフレ、経済危機が訪れる。その前に付加価値税と社会保険料の増収を政府が行い、税制を改正し、大幅な増税を実施せざるおえなくなるとしている。今の低金利が続いたとしても避けられない。この本はロシアがウクライナに侵略する直前に発行されたが、それにより経済危機がもっと速く早まるのだろうか。

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