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日本の証券界、国際化には、ほど遠く

最近、東芝のTOBをめぐって、業界が揺れている。東芝社長が、前職の会社からTOBをかけられたと表明したが、あまりにも経緯が不透明で、一般にもわからないし、取締役等もわからないといっている。密室で行われたのであろう。透明性云々よりガバナンスが東芝にない。前も不正があった。繰り返しである。みずほ銀行もそうだが、会社の体質は、どういじくっても、簡単に変わるものではない。TOBはあまりにもお粗末。この程度の認識で東芝のトップを務めていたのである。ゴーンを責められない。
さて、このほど金融庁と東京証券取引所は、それぞれコーポレートガバナンス・コード(投資家と企業のガイドライン)の改定案を公表した。読むと改定案では5つの改定と11の原則が修正されている。新たにプライム市場を創設するので、6原則に特則が入っている。フォローアップが提案した検討項目、まず最大の焦点は「取締役会の機能発揮」そして「中長期的な持続可能性」「監査の信頼性の確保」以下「株主総会」「資本コストを意識した経営」と続く。プライム市場向けには「独立性の向上」と「情報開示の充実」が強調されている。
私が最も注目したのは、コーポレートガバナンス・コードの補充原則3-1②である。国際化の問題でもあるが、ここに書いてあるのは「開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである」ここで「必要とされる書類」以外は、英語訳は必要ではないといっているが、それでは「必要とされる書類」とは、どんな書類を指しているのか、東京証券取引所などは「必要とされる書類」かどうかの判断は、あくまでその企業の判断によるとしている。その企業が必要な書類と判断しなければ、すべて日本語でOKという事である。今どき、母国語が英語以外の国の主要な証券取引所で、その国の人しか理解できない言語で書類を公表する取引所があるだろうか。香港金融センターを日本に誘致したいと云ったのは金融庁である。そのための税制改正も今年行った。日本の医学会、医師教授の研究論文は全て英語である。日本の学会に提出する論文も英語以外は受け付けない。そのようなことを、政府、金融庁、証券取引所の偉い人はご存じなのだろうか。日本語で論文を書いても、世界の人は誰も見ない、読まないからである。今回のコーポレートガバナンス・コードの公表をみて、あまりにも、世界からかけ離れた感覚を実感するのは、私だけではあるまい。むしろ国際的に活躍している人たちにとっては落胆意外の何物でもないだろう。

推薦図書。
宮本輝著 「草花たちの静かな誓い」 集英社文庫 860円+税
この本は全くの小説でビジネス書なんかではない。「アメリカで住んでいた叔母が修善寺で亡くなり、突如、4200万ドルもの莫大な遺産を相続することになった弦矢。遺骨を抱え、弁護士とロサンジェルス郊外にある叔母の家に向かった。そこで白血病で死んだはずの叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされる。・・・・・・」という何ともミステリアスな本だが、私が興味を持ったのは、私のオフィスがあるロサンジェルスのトーランスや高級住宅街パロスバーデスが舞台であったからで、きめ細かい知った地名がふんだんに出てくる。しかも意外なことに著者は実にアメリカのこと、アメリカ人についてよく理解していて、アメリカの教育、大学、生活まで見事に解説している。これからアメリカに留学する人、アメリカに進出する人などにとっては、下手な解説書よりはるかに見事に描き切っている。立派なアメリカビジネス入門書である。

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