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「海外財産を差し押さえ」できるか、国税庁

日本の所得税や相続税を滞納している者、国税局は、その者の所有財産を差し押さえることが出来る。これには本人の同意はいらない。場合によっては競売に付す。ところが日本の国税当局は、日本にある財産しか差し押さえることが出来ないのである。海外にあるのがわかっていてもだ。悪い輩は、財産を海外に送り、日本の税金を逃れようとする。今の世の中、簡単に財産を国外に持ち出せる。経済はボーダーレス化しているので防ぎようがない。
「徴収共助」という制度をご存じか、この制度は、日本人が日本の税金を滞納して、納める気もない、しかも日本にしかるべき財産もない、しかし海外に財産を持っていた場合に、海外の税務当局にその財産を差し押さえてもらい、強制的に税金を徴収するのである。この件はニュースになったが、東京国税局管轄の会社が、納めるべき消費税と源泉徴収税を使い込み、事業は廃業し、財産を売却し、借金だけが残ったが、調べてみると韓国に財産を密かに所有していたことが判明、国税庁は韓国税務当局に対して「徴収共助」を要請。韓国税務当局は素早く差し押さえを実施し、滞納税額を徴収した。めでたしめでたしである。この「徴収共助」は2013年10月に「税務行政執行共助条約」の発効により導入された。今や欧州を中心に65か国が加盟している。これには海外の税務当局と預金口座の情報を交換する制度CRSなどの背景もあって、OECDも積極的である。日本の税務当局も一昨年は13件、昨年は19件と海外に要請する件数は増加してきている。
しかし問題も大きくある。日本の税務当局が要請した金額は53億円に上っているが、これまでに徴収できたのが9億円(うち1件だけで8億円)。日本の要請によって外国税務当局が動いてくれるかどうかは、その国次第だ。ちなみに日本人が最も多く海外財産を持っている国、アメリカは全く動かない。

☆ 推薦図書 ☆
酒巻久著  「仕事の哲学」 PHP研究所  1600円+税
著者は評論家や著述業でもない、キヤノン電子(株)社長である。最近の小手先だけの「働き方改革」に苦言を呈している。至極ごもっともな、ためになる本である。
働き方改革に「長時間労働の是正」がある。意義はあるが、長時間残業や休日出勤を罪悪視しすぎると「できるだけ働きたくない」と考える人が増えてしまう。社員を休ませる制度ばかりが先行すると「全力で働こう」という意欲がどんどん薄れ、楽をすることを考える社員ばかりを増やしてしまう。「パワハラ」も同じだ。先日、ある幹部社員が提出したレポートがあまりにも稚拙だったので「馬鹿か、お前は」とたしなめたところ「これはパワハラになりますね」といわれた。きちんとした信頼関係が存在する間柄において「バカか」と一言、思いを込めたメッセージを記すことも許されないなら、部下を育てることは出来ない。
テレワークがコロナで推奨されているが、しかし、これはオフィスと違い、判断に迷ったときに、近くにいる人にすぐ相談が出来ない、よって、自分1人で判断できるぐらいの知識や経験がある人でないと、間違いなく生産性が落ちる。
働き方改革の目指すのは、楽して豊かになろうという事ではない。時には寝食を忘れるほど仕事に打ち込むのは、成果を出そうとすれば当たり前の話である。豊かさも、その先にしかない。寝食を忘れるほど打ち込める仕事があるのは幸せなことであり、その中でしか味わえない充実感や達成感もある。午後6時になったら考えるのをやめて、まったく仕事から離れるというやり方に、閃きを期待する仕事はできない。
経営者や幹部社員はもとより、より上を目指そうとする人に最適の書である。

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