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アメリカ民主党指名のKamala Harrisの確定申告書と大統領選

いよいよ大統領選挙はトランプ氏とHarris氏の正式な対決になったが、既に、あちこちで火花を散らしている。先日黒人のジャーナリストの会議にトランプ氏が出席し、そこでHarris氏はインド系で、数年前迄Harris氏は黒人だとは知らなかったと発言、更に、何百万人という不法移民が国境を越え、黒人の仕事(Black Job)を奪っていると発言、これに対し司会者は、黒人の仕事とは何かと問い正すと、トラプン氏は「Any Job」だとお茶を濁した。相変わらずのトランプ氏だが、これに対し、体操女子個人の金メダルを取ったSimon BilesはXで、”I love my black job”と応酬している始末だ。
アメリカの慣習によって、そのKamala Harris氏は、過去の税務申告書を開示した。2020年の大統領選挙で既に過去15年分を開示しており、今回新たな5年分を開示し、合計で20年分の開示を行ったことになる。多くのメディアは今回の開示につき、彼女の申告書は何の面白みがないとコメントしているが、トランプ氏が自ら開示を行わないのに対抗し、彼女は自分は政治的な透明性があると主張したいのである。ちなみにバイデン大統領は過去数十年の長い政治家人生で毎年確定申告書を開示している優等生である。
Harris氏は2004年にサンフランシスコの地方検事に選ばれ、2010年にはカリフォルニア州の司法長官に選出されている。但し、地方検事から司法長官になることで彼女の所得は減っている。2010年262,877ドル(3600万円)あった所得が2013年には128,668ドル(1800万円)まで下がった。理由は明白で、これはカリフォルニア州の財政危機により、財政抑制策で強制的に公務員の給与削減が行われたものである(日本では考えられないが)。ところが、2014年にDLA Piper 弁護士事務所に勤めていたDouglas Emhoff氏と結婚し、ジョイント申告(夫婦合算課税、日本にはない)となり、所得が大幅に増え、1,232,613ドル(1億7000万円)となっている。更に、Harris氏は2019年に2冊の書籍を出版し、749,484ドル(1億円)ほどの印税収入がある。2020年に副大統領に就任すると、Emhoff氏は弁護士事務所を辞め、ジョージタウン大学で教鞭をとるようになり、彼の給与は1.2百万ドルから17万ドル(2300万円)まで減り、二人の合算課税所得は40万ドル(5200万円)前後まで減っている。
2023年度の申告での所得はHarris氏が副大統領の給与として218,784ドル(3000万円)、Emhoff氏は大学での給与が174,994ドル、Harris氏は本の印税が6,000ドル、利息収入が50,603ドル、大学や非営利団体、教会への寄附が23,026ドルとなっている。不動産はLAのBrentwoodに Emhoffが2012年に270万ドル(3.5憶円)で購入しており、結婚後名義を共有名義に変更しており、カリフォルニア州では不動産が上がっているので、現在の市場価格は500万ドル(7億円)ほどになった。住宅ローンは2020年に200万ドル(2.8憶円)で2.625%の7年固定金利ローンに借り換えをしている。以上が確定申告書からわかる彼女の税歴だ。
Harris氏は1990年代、当時 サンフランシスコ市長のWillie Brownと不倫をしていて、(当時市長は奥さんとは10年以上別居をしていたが、離婚はしていなかった)この市長の力で様々な重要ポストを得て、地方検事になり、司法長官になったと噂されている。更に、副大統領には黒人且つ女性であることを理由に副大統領にえらばれたとも言われており、必ずしも彼女は実力者ではないと言われているが、日本のマスコミではこのあたりにスポット当てていないが、アメリカ人は知っている。現に、副大統領就任後は殆ど実績を残していない。ここら辺をどうトランプ氏が突いてくるのか、いよいよだが、日本でのマスメディアに登場する評論家先生の多くは、アメリカの空気を正しく伝えていないように思われる。

☆ 推薦図書。
トーマス・ジョイナー著 宮家あゆみ訳 「男はなぜ孤独死するのか」晶文社 2420円
ハーバード大学医学部のレポートに「男性―医学的に弱い性」が掲載された。冠動脈疾患、脳卒中、インフルエンザ、肺炎、糖尿病などの病気は、男性の方が女性よりも死亡率が高く、死亡時期も男性の方が早いことによる。また肺がんや大腸がんなど、がんの発生率は女性よりも男性の方が約50%高い。さらに、女性より男性の方が圧倒的に多い死因がある。それは自殺だ。アメリカでは、ある年3万2637人の自殺者があったが、そのうち80%が男性であった。高齢男性の自殺の最大の要因は孤独感だ。不況は自殺の増加に拍車をかける。若いころは仕事を通じてお金や地位を得ることを重視し友人を求める努力をしない。年齢を重ねるごとに収入や地位を得ることがなくなり孤独や空しさを感じてしまう。防止するには社会的なつながりを復活させ、運動と規則的な睡眠をとることだとこの本は言っている。

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