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アメリカ人、リタイア後の移住先は?

SQ12便、もうすぐロサンジェルス空港である。太平洋上空でブログが書ける時代になった。

フォーブスは2020年のアメリカ人のリタイア後の移住先ベスト25を発表した。Social Security Officeによると、Social  Securityの小切手の海外への送付先は70万枚を超えたと発表しており、リタイア後、海外で生活をしているアメリカ人が多くなっているようだ。フォーブスは、政治、治安、ヘルスケア、税制、気候、文化、言語、生活費等を鑑み評価している。以下、アルファベット順で発表されている。①アルバ ②オーストラリア ③ベリーズ ④カナダ ⑤コロンビア ⑥コスタリカ ⑦クロアチア ⑧キプロス ⑨ドミニカ共和国 ⑩フランス ⑪インドネシア ⑫アイルランド ⑬イタリア ⑭マレーシア ⑮マルタ ⑯メキシコ ⑰パナマ ⑱フィリピン ⑲ポルトガル ⑳スコットランド  ㉑スロベニア ㉒スペイン ㉓タイ ㉔ウルグアイ ㉕バージン諸島

従来はアメリカ人の海外のリタイア先というとコスタリカなど、物価が安く、英語が使えて、何かあったらすぐアメリカ本土へ帰れる中米が多いイメージだったが、このリストにはヨーロッパ諸国やカナダ及びアジアも含まれており意外である。フォーブスは毎年このリストを発表しているが、政治的に不安定となり治安が悪化したチリ、エクアドル、ニカラグア、ペルーは2020年のリストから外し、メキシコ、クロアチアを加えている。ただし、メキシコでも国境近くの街は避けるべきとし、フィリピンでも遠隔地は避けるべきとしている。

リタイア先はアメリカより物価が低く生活費の安い中南米もしくはアジアが多く、イタリアやフランスの物価はローマやパリのような都市部では高いが、郊外では意外に安く生活ができるようだ。また中南米やアジアでは、リタイアした外国人に長期特別ビザを発行する国もあり、最低年間所得等ハードルを低くしている国は多くある。一方、カナダやスコットランドのように、両親や祖父母が市民でないと永住権等の取得が難しい国もあるようだ。

老後の生活となるとヘルスケアが重要課題になるわけだが、ベリーズ、メキシコ、フィリピンのように都市部以外のヘスルケアがよくない所もある。一方、フランス、カナダやスコットランドのような高度医療のある国では、長期ビザや永住権を取得することが難しい傾向にあるようだ。ただし、バージン諸島はアメリカ領であるため、アメリカのメディケアが利用できる。ほとんどはリタイア用の特別ビザではその国の国民保険には加入できないため、プライベート保険に加入する必要があるとのこと。それでも保険費用は米国に比較すれば各段安いようだ。

税制面ではウルグアイ、マレーシア、パナマ、ドミニカ共和国、クロアチア、コスタリカ、コロンビアのようにアメリカと租税条約がない国もあり、二重課税になる恐れもある。ただし、オーストラリア、コスタリカ、マレーシア、パナマ、フィリピン、ウルグアイでは海外を源泉とする収入には一切課税せず、また、コロンビア、ドミニカ共和国、フランス、タイでは年金やソーシャルセキュリティからの収入に対し課税しない。ただし、アメリカ人はどこに居住していようとも、全世界の収入に対し米国での申告を行う必要があるので、アメリカでの申告からは免れることはできない。

しかし、どの国からもリタイア後の移住先に日本が挙がったことはない。所得税に加え相続税の群を抜いた高額な国に、老後住みたいと思う外国人はいまい。日本人でさえ脱出したいと思う人が山といる。

☆ 推薦図書 ☆
丸山俊一、NHK取材班 編著 『AI以後』 NHK出版新書 800円+税
この本はNHKの番組「世界の知性が語るパラダイム転換」をまとめたものである。
AIを巡る論議、AIを礼さんする一方で、AIに職を奪われるという説など様々。そもそもAIとは何か。これからAIはいかに進化するのか、など。
物理学者のマックス・テグマークは、「AI研究の目標は学習能力があり汎用人口知能(AGI)の開発である。AGIは今後「意識」を伴う情報処理をできるようになる」としている。
倫理学者のウェンデル・ウオラックによると、「自律したAIが意思決定を下すことで大きな社会的被害が生じる。だから、AI自身が道徳的判断を下せるようにしなければならない」。しかし、善悪の概念は人によって異なる。そのため、AIに正しい価値観を教えることは不可能であろう。
哲学者のダニエル・エネットは、「AIが自律すると人間の命令を拒否するようになる。そうなると、人間がAIを動かすためには説得する必要が出てくる。そしてAIが自律性を持てば、人間に隠し事をするようになる。」としている。
等々の問題点を炙り出している著である。

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