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アメリカ、仮想通貨脱税への取締り強化

フォーブスによると、今年7月末から8月にかけてIRSは1万人以上の納税者に対し、過去の仮想通貨取引に関する通知を書面で行ったとした。この通知は、過去の仮想通貨取引からの収入を正しく申告せず、税金の支払いも正しく行われていない、もしくは、適正な申告を行っていない可能性が高いというものである。

 

この通知書にはLetter 6173、Letter 6174、Letter 6174-Aの3種類がある。Letter 6173は、申告不正疑惑があり、IRSが質問票を送って納税者が回答をする形式のもの。Letter 6174は、過去の仮想通貨取引を申告書に反映させていない可能性が高く、もう一度申告書を見直して間違いがあれば修正申告をせよというもので、返信の必要もなく、IRSはこれ以上のフォローアップはしないとしている。 Letter 6174-Aはもう少し厳しいもので、納税者は仮想通貨取引に関し申告書に正しく反映させていない可能性が高く、問題があればすぐに修正申告を行うべきだと書いている。また、返信を行う必要はないが、今後も取締りを行うかもしれないとしている。これに該当する納税者は、ある意味IRSのブラックリストに載っているようなもので、早急に対応すべきと考えなければいけない。

 

IRSのコミッショナーは、これらの通知を受け取った納税者は事の重大さを真剣に考え、過去の申告書をよく見直し、必要であれば修正申告を行い、税金を納めるべきだと忠告している。IRSは2014年に仮想通貨は通貨ではなく、現金を換金できるキャピタルアセットであるとして、株式同様、売買に際してはキャピタルゲインもしくはロスを申告書に報告するよう納税者に注意を促してきている。ところが、2016年には1億3200万件申告された確定申告書のうち、わずか802件の申告書にしか仮想通貨取引の申告が行われていなかった。IRSは申告漏れの納税者がかなりいると判断し、仮想通貨取引業者Coinbase社より裁判所の手続を経て1万3千口座以上の口座情報を入手した。今回この情報を元にIRSは納税者宛通知したものだ。

 

今回のIRSの行動は、今後仮想通貨取引により申告漏れ納税者を積極的に取り締まる序曲にすぎない。これは、2008年よりオフショア口座の取締りを強化し多額の税金を回収した成果を元に、第二のキャンペーンとして仮想通貨取引による申告漏れの取締りを行う計画のようである。これが本格化すればオフショア口座取締りの時のように、IRSはありとあらゆる手段を使い脱税者を取り締まるであろう。但し、オフショア口座取締り時のように刑事罰に対する恩赦はないよだ。

 

今回、仮想通貨を取引して儲けようと考えた多くの投資家は、まさか取引情報がIRSに開示されることはないと考えていたわけで、これらの顧客は戦々恐々としている。恩赦もないので、IRSの摘発を受ける前に修正申告手続きを行う者がかなり増えることが予想される。IRSは今後、司法省の手を借り他の仮想通貨取引業者や弁護士、会計士、アドバイザーから全ての情報を入手するであろう。日本と異なり悪質な脱税者は刑務所に行く。いよいよIRSの宣戦布告である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
八木龍平著 『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』 サンマーク出版 1500円+税
神さまとは、いわば「知的な空気」である。注意すれば誰もがその存在に気づく。神さまは意思と目的を持った透明な存在である。しかし神さまは見えないし語らない。「風が吹いてきた、これが神さまのサインだよ」神さまを感じるのは「見る」以外を意識すること。神さまを感じるのは、神社が最適である。
日本を動かした天下人は必ず神社に参拝している。天皇家は世界で最も長続きしている王室といわれる。2000年以上前から、歴代の皇族は、伊勢神宮を始め日本各地の神社を参拝してきた。神社を作りお祭りをしてきたのである。白河上皇などは熊野古道をたどり、熊野本宮大社や速玉大社など9回も参拝している。平清盛は厳島神社を参拝し平家の天下を実現した。源頼朝は箱根神社、足利尊氏は宗像神社、豊臣秀吉は日吉神社、徳川家康は数多くの神社を参拝。このように神社を熱心に参拝していない天下人は皆無である。
実業家でも、松下幸之助は社内のあちこちに神社をつくり、出光佐三は生涯にわたって宗像大社を厚く信仰。自民党の歴代総裁は、毎年1月4日には伊勢神宮を参拝する。
神さまは参道の真ん中を吹き抜ける風に乗って、参拝者の元にやってくるのだと。
この本を読むと何故か神社に行きたくなる。

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