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仮想通貨は相続時の課税対象

ビットコインなどの仮想通貨の流通が盛んだが、遅れているのは法整備である。一昨年、仮想通貨は、不特定多数を相手方として物品の購入やサービスの提供などを受ける場合に使用できる財産的価値であり、インターネット等を用いて移転することができるものとされ、仮想通貨は財産であるとされた。それがため、仮想通貨の所有者が亡くなると、相続税の課税対象となるのがはっきりした。

 

また仮想通貨を使用することにより、利益が生じた場合は雑所得として総合課税され、税務上の仮想通貨の位置づけが決まった。しかし、現実にはどうであろうか。亡くなった時の仮想通貨の残高証明はとれるのだろうか。仮想通貨の取引を行うにはパスワードが必須である。亡くなった人が、そのパスワードを誰にも教えず、誰も知らなかった場合、亡くなった人が保有していた仮想通貨はどうなるのだろうか?それでも国税庁は、亡くなった人が保有していた仮想通貨は相続税の課税対象となるとしている。どうやって発見するのだろうか。

 

亡くなった人が仮想通貨取引で使用していたパスワードを知っていたかどうかは、相続人に問いただすしかない。相続人はパスワードなんか知らされていなかったと言えばどうなるのだろうか。国税局は、それならば国家権力を使ってでも、その仮想通貨の残高を探り当てることはできるのだろうか。答えは不可能であろう。

 

相続税法上、相続人の取得財産の立証責任は、あくまで国税当局にある。国税庁は仮想通貨に対しても相続税を課すと言っているが、それはあくまでも課税の公平を常に唱えなければならない使命感をもってして公表しているアナウンスメント効果を想定してのことであろう。

 

脱税者はしたたかである。国税当局が仮想通貨の不正を見破られないと見ると、一気にそこに集中する。森友・加計問題に明け暮れる国会。このような問題を野党は全く国会議論の遡上に乗せない。しばらくは、税金を納めたくない輩の恰好の今日この頃か。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
トーマス・フリードマン著 伏見威蕃訳『遅刻してくれて、ありがとう』 日本経済新聞出版社 各1800円+税
著者はピュリツァー賞を3度も受賞した有名なジャーナリストである。彼によると、よく政府高官などの朝食会で相手方が遅れてくることがあり、言い訳は必ず「地下鉄が遅れて……」である。著者は「いや、謝らないでほしい。それどころか、遅刻してくれてありがとう」。なぜなら、遅れて来てくれたお陰で、自分の時間をつくることができた。じっと考える時間が見つかった。そして最も重要なのは、その空き時間に、何日も考えあぐねていた思いつきをまとめられたことだった。その結果が本書である。
現在は「テクノロジー」「グローバリゼーション」「気候変動」という3つの大きな力が同時に加速する「加速の時代」を迎えている。加速の時代に仕事を確保するには「動的安定」が必要である。この動的安定に全ての人が適応できるだろうか。19世紀に織布に関わる労働の98%が自動化された。すると何が起きたか。職工の雇用が増加したのである。人間の仕事が自動化されると生産性が向上する。そうなると価格が下がり、製品の需要が増えるというわけだ。しかしこれからは「仕事はなくならないが、いい仕事に必要とされるスキルが高くなっている」。加速の時代には持続性のある価値観が必要で、それには正直、謙虚、高潔、相互尊重といった持続税のある価値観は、信頼、絆、希望を生み出す。加速の時代を生き延べるためには、倫理と社会を急速に進化させなければならない。つまり努力して自分を磨かなければ生き残れないと。

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