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欧米並みか、企業の節税策の公表

企業の節税策は一般には秘密である。例えば企業再編を利用して赤字企業を買収し節税したとか、わざと役員退職金を大幅に計上して法人税を抑えたとかである。

 

BEPSの「行動計画12」ではアグレッシブ・タックスプランニングを提案しているが、アグレッシブ・タックスプランニングとは企業の顧問税理士などが、どのような節税対策をその企業に施したのかを開示する制度である。既にアメリカやイギリスではこの制度が実施されている。また企業のみならず、個人の所得税や相続税対策などもその対象となっている。BEPSはこの制度を法律として定めることを日本に勧告している。早ければ平成28年度改正税法で日本も取り入れる可能性がある。

 

もともと大企業の国際課税をめぐっての租税回避を防ぐものとしてBEPSが採用したが、今や国際税務のみならず国内の法人税、はたまた個人の税務まで拡がりつつある。欧米、カナダなどでは法として、所得税、譲渡所得税、相続税(遺産税)、贈与税も開示の対象となっている。BEPSは日本にもそれを求めてきている。

 

そうなると、アパート経営に乗り出したのも実は相続税対策のためであったとか、赤字会社を吸収したのは法人税対策のため、太陽光発電装置を購入したのは所得税対策のため、親と同居したのは小規模居住用宅地の特例を受けたいためだとか……。いろんな理由を税務署に報告しないといけない。これで少しは節税対策が減るのだろうか。

 

アメリカでは、開示が義務化しても一向に節税対策は減らない。むしろ増加している。堂々とIRSとやり合うのだ。日本も、節税対策をコソコソやることはない。筆者はいつも税務当局とやり合うが、租税法律主義の日本である。信念を持った節税策は、負けたことがない。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
ポール・ロバーツ著 東方雅美訳 『衝動に支配される世界』 ダイヤモンド社 2,400円+税
アメリカのワシントン州シアトル近郊にリスタートがある。ここにはインターネット依存症リハビリ施設があり、何年間もオンラインゲームに夢中になり、金はなくなり、体力が衰え、食事もできなくなった患者の収容施設。ゲーム会社はプレイヤーが没頭できるように仕組み、さらにははまり込んでいくようにする。このような消費社会は、クレジットカード、コンピューターなど、自分でコントロールできないほどの力を提供してきた。肥満やドラッグの使用など、行き過ぎを防げなくなった。またアメリカでは、金融セクターの影響も大きい。多くの資本が道路や学校などの実態のあるものではなく、投機的な金融商品に流れる。そして優秀な人材も金融界に流れる。経済を破壊しかねない現実がある。かつてフロイドは、健全な個人は現実に従い欲求の満足を遅らせることを学ばねばならない、と言った。けだし名言である。

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