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アマゾンほど納税意欲の無い会社はない

アマゾン(Amazon.com, Inc.)は世界をまたにかけた企業であるが、ヨーロッパなどの低課税国などに本社を置き課税を免れる方法は朝飯前で、現に日本でも、音楽配信や電子書籍販売などでも消費税を納めていない。アマゾンは本家アメリカでも消費税対策をやり、大問題となった。アメリカの消費税は日本と異なり、国税ではなく地方税である州税であるから、州税の消費税率の低い州に倉庫を置き、消費税率の高い州の人々に配信する。何ともはや、スターバックスやアップルは、ことのほか、OECDなどで指弾されたが、アマゾンの比ではない。アマゾン経営の論理で利益確保のためのコスト削減策は、支払う税金を少なくすることであるとしている。アマゾンによれば、税金はコストなのである。稼得した利益から当然納めなければならない国民としての義務だとは到底思っていない。いかにコストを抑え、アマゾンの株主に還流するかがCEOの最大の責務だと思っている。

 

筆者もなぜこれほどまで節税に熱心なのかを知らないが、オーナーのジェフ・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos)51歳は、出生名はジェフリー・プレストン・ゲンゼン(Jeffrey Preston Jorgensen)でプリストン大卒、現在月給は170万ドル(約2億円)だが、財産は320億ドル(約4兆円)だといわれている。1995年(平成7年)に今のアマゾンを設立した。これだけ財産を持っていても、欲には限りないことも彼は証明した。アマゾンは税金のほとんど無い国、ルクセンブルクに会社を設立し、同社の取引を通じて大半の利益をルクセンブルクの会社に落とし、課税を回避したとしてIRS(アメリカ国税庁)に摘発された。いわゆるアマゾンとルクセンブルク子会社との間のCost Sharing取引に関する移転価格税制の問題である(Amazon.com, Inc. V. Commissioner, T. C. Memo, 2014-2015)。

 

ここで、断りを入れるが、日本は税金問題の裁判でも地裁、高裁、最高裁と争われることが多いが、残念ながら裁判官で税法の知識を持ち合わせている人はほとんどいない。これは司法試験に税法が無いからでもある。裁判官や検事に法人税法や所得税法、はたまた租税特別措置法などを読ませても、理解できる法曹界の人はいなかった。それほど税法は複雑で、難しいのである。したがって外国では、そのような裁判所では税法の訴訟は扱わない。アメリカでは税法を扱うのは税法に長けた裁判所であり、連邦租税裁判所(Tax Court of the United States)だけがそれを裁く。

 

このほどアマゾンの租税回避があまりにもひどいので、IRSはジェフ・ベゾスを連邦租税裁判所の証人喚問として裁判所に出廷させ、徹底的に彼を叩こうとしていた。これに対しアマゾン側は、ジェフ・ベゾスの出廷には彼の時間的制約があり、特に12月はアマゾンの1年間のうちで一番忙しい時期でクリスマス商戦と重なるので、会社責任者としても重大な支障を来たすとして出廷を拒否する旨を裁判所に求めた。日本では考えられない。仕事が忙しいから、証人喚問なんかに行けるかということである。別に店の前で売っている人でもないのだが、こんな理由で証人喚問拒否理由を出したが、裁判所は何と、CEOのジェフ・ベゾスに対するIRSの召喚の棄却を認める判決をした。アメリカはあくまでも富裕層社会で成り立ち、その結果アメリカが世界一を保っていると考える。日本でもし、国会証人喚問を、かきいれどきで仕事が忙しいから行けませんと答えたらどうなるのか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
神山典士著 『ペテン師と天才』 文藝春秋 1,500円+税
この本は大宅壮一ノンフィクション賞を獲得した。ご存知、佐村河内事件の全貌を記してある。ペテン師とは佐村河内氏のことであり、天才とはゴーストで作曲していた新垣氏のこと。耳が不自由で被爆二世ゆえの発作と戦いながらクラシック音楽を作曲する天才音楽家とされ、「交響曲第一番 HIROSHIMA」は18万枚を売り上げ、現代のベートーベンとして崇め奉られた。しかし彼は楽譜すら読めないのに、18年間もそうであり続けた。NHKスペシャルが取り上げたのをきっかけに、ここまで嘘偽りの世界に君臨し続けた物語である。ペテン師として世界を欺くには、ここまでやるのかと驚かされる努力を書いてある。いかにして彼は我々を騙し続けたのか、本当におもしろい本である。

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