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同性婚問題、いよいよアメリカ最高裁が舞台に

アメリカでは、つい最近、同性婚問題につき連邦最高裁判所が取り上げると発表があった。これまでは、州レベルにおいて同性婚の問題を各州の判断に任せるという連邦の姿勢であった。何故これほど同性婚の問題がアメリカでは騒がれるかというと、お金の問題である。アメリカでは夫婦間の贈与や相続は全て無税であり、夫婦のジョイント預金口座や不動産など、夫婦であればこその法の優遇措置がある。したがって、レズやゲイなどというだけで何年一緒に暮らそうが、それらの恩恵に与れない。一応今までは、連邦税では同性婚を認めていたが、同性婚を認めない州では、連邦への確定申告書は夫婦合算申告(日本にはこの制度はない)で、州への地方税はお互い独身として申告をするという奇妙な税申告である。このため、かなりの州でこの種の裁判が発生し、その裁判も違法、適法と判断が分かれるケースも多々出てきた。

 

今回、連邦最高裁が扱うのは、1868年に制定されたDue Process及びEqual Protectionを保障した憲法14th Amendmentにかかわるケースとなる。Due Processとは「法の適正手続き」(著者訳)であり、14th修正ではDue Processなしに、州は個人の生命、自由または財産を奪ってはならないとある。つまり州は個人に帰属する法的権利を尊重しなければならないということであり、突き詰めれば14th修正は、州が同性と異性のカップルを異なる扱いをすることが個人的な法的権利を尊重し、法の下の平等に違反するのかどうかの議論を行うことになる。

 

14th修正はもとはと言えば、解放された奴隷に法律的な平等を与えるという趣旨のもとに成立した。Equal Protectionとはいったい何に対して平等なのか、不平等なのか。例えば16歳以下の者は学校に行く義務がある。砂浜やプールでは女性だけは胸を覆う義務がある。身体障害者はパーキングで特別に与えられたスペースがある。同性婚を認めないことは平等の原則を侵害しているのかどうか。いよいよアメリカの最高裁は決着をつけなければならないことになったようである。

 

これらにつき、アメリカのメディアでは様々な動きがあり、LDS(モルモン協会)はゲイ、レズ、性転換等に対し平等な取扱いをするという発表があったが、結婚は神聖なものであり男女しかできないとも宣言している。カトリック教会やSouthern Baptist Churchも同様である。

 

これらの背景にあるのは、ある協会の神父が同性の結婚に反対したというので、テキサス、ヒューストン市長が召喚状を出したり、モルモン教のスポーツ選手が同性婚反対の団体に寄付をしたということでオリンピック関係の仕事から降ろされたり、Mozilla社のCEO、Brendan Eichも同様の団体に寄付をして辞任に追い込まれていることである。

 

アメリカ的信仰の自由とは、自分の信念で協会に行くことの他に、キリスト教の医者であれば堕胎を拒否する。同性婚カップルに対する人工授精を断る。避妊薬の処方を拒否する等の権利を認めるよう求めるのである。同性婚を認めないのは差別かどうか。お金の問題をクローズアップさせないでの最高裁の判断、今年7月判決の予定である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
横山信弘著 『「空気」でお客様を動かす』 フォレスト出版 1,500円+税
「映画館のポップコーン」は、普段ポップコーンを買わない人も、多くの映画館ではポップコーンを買う列ができる。人は何かを買うとき、すべてを経済合理性に基づいて決めるわけではない。その場の「空気」によって左右される。客は3つのタイプに分類され、①自燃客(すぐ感化され、購買欲を燃やす)、②可燃客(信頼できる相手になら感化され、購買欲を燃やす)、③不燃客(他者に感化されない)。
そして、「空気」によって客を動かす手法を空気マーケティングと呼び、どうすればそうなるかを詳しく述べている。そのなかで、売れない最大の理由は売れないと思っていることであり、「その気」がある人は相手を「その気」にさせる。
商人には必読の書である。

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