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税務調査でソフトバンクグループ370億円の申告漏れ

またかという感じである。3、4年に一回申告漏れを指摘される上場会社も少なかろう。いつも違った税務問題で東京国税局に摘発される。常習犯であるが、これほど納税意欲のない大会社も少ない、上場会社になると監査法人の監査をうけなければならないので、経理がクリーンであるので、国税局の税務調査も、忘れたころにやってくる程度である。他社を買収する場合などM&Aを行う前にデューデリジェンスを行うが、そのデューデリジェンスによって企業の身体検査を行い、買取価格などを決定する、通常、監査法人や弁護士法人などもデューデリジェンスの業務を請け負う。問題はソフトバンクグループは、これら請け負った法人に支払った額を費用に落としていたのである。国税局は株式取得に伴う支出なので、株式取得価額に含めなければならず、費用ではないとした。例えば土地を購入するとき支出する仲介手数料などは費用ではなく土地の取得価格に含めなければならない。法人税法施行令第119条一項には「有価証券の取得価額は、その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用を加算した金額)」とある。その根拠条文から、国はデューデリジェンス費用は明らかに取得費に加算すべきだとしている。通常M&Aが成立しなければ、それら支払った金額は費用となるのは当たり前だが、一部の識者にはM&A決定までの支出は費用、決定後は取得価額という意見があるが、それもおかしい。例えば医療費控除の範囲に、人間ドックの支出は医療費控除の対象にならないが、それで病気が見つかり治療に入った場合は、人間ドック費用も医療費控除の対象になる、という理屈で、M&Aの意思決定前であろうと、結果M&Aにつながれば、それは立派な取得価額を形成する。ただ法人税基本通達2-3-5に「有価証券を取得ために要した通信費、名義換料を含めないことができる」とある。つまり取得価額に含めないことができるものを限定列挙しているのであるから、ソフトバンクグループは通達無視であろう、しかし国税局の通達は法ではない。今回の申告漏れは、2020年にスプリントとTモバイルの合併の際、ソフトバンクグループはスプリント株を売却し、その金でM&Aする際にかかったデューデリジェンス費を損金計上したのだ。今回の件も法でデューデリジェンス費は損金に落ちないと明確に書いていない。孫氏率いるソフトバンクグループは、これまで何回となく国税局の指摘を受け最高裁まで争った事件もある。いつも裁判で「うちの会社が処理した税務処理がダメだと、どこに書いてあるのですか」という手法、つまり法に明文化してなければ、なんでもする方式のソフトバンクグループなので、私などは、またかである。一般に日本の上場会社は、こうすれば税金が安くなるとわかっていても、そんな行儀の悪い事までして節税したいとは思わない、である。いまや国税局にとって、常習犯扱いなので、税務処理問題で、普通の上場会社では通るが、ソフトバンクグループでは精査するである。今回はあっさり非を認めたが、税金を払いたくない、懲りない孫氏、3年後には何を国税局は否認するのであろうか、興味は尽きない。、

☆ 推薦図書。
鈴木宣弘著 「世界で最初に飢えるのは日本」 講談社 990円
著者は東京大学大学院農学生命科学研究科教授である。現在日本の食料自給率は37%だが、実際、野菜の種や鶏などの家畜のエサなども輸入に頼っている。2035年頃には日本は飢餓に直面する。試算では、その頃コメ11%野菜4%など食料自給率は壊滅的な状況になる。なぜこのようになるのか、一番の原因はアメリカの食糧戦略だ。「食料は武器より安い武器」と位置づけ、日本をはじめとする世界の国々に自国の食料をできるだけ安く輸出し、世界の人々の胃袋をコントロールする。そのためアメリカは昔から輸出する作物に補助金を付けている。自国の作物を安く売ることによって、日本の小麦や大豆、途上国の穀物の生産を潰してきた。戦後、アメリカは小麦を売るために、日本を「洋食推進運動」と称して食生活を欧米化した。日本政府は食料危機を考えていない。例えばロシア・ウクライナ戦争で、日本政府はすぐにロシア制裁を決めたが、その報復としてロシアからの食糧やエネルギー資源の禁輸措置を取られることを十分検討していたのか、食料制裁分を国内農業の拡大策を取らないとならないが、政府は何もしない。これはあまりにも無責任ではないか。アメリカの農産物のダンピング輸出で壊滅状態になった日本農業、飽食の時代を生きてきた日本人、いまこそ、改革しなければ、日本は真っ先に飢える国の一つであるという事自覚すべきだと。この本を政府・与党は読まなければならいないと思った。

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