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ロサンゼルス市による新税、Mansion Taxとは

アメリカでは貧富の差を是正する方策として富裕税の議論が盛んに行われている、日本とはけた違いの貧富の格差で、その意味でいえば日本は格差社会ではない。と言っても富裕層課税は連邦レベルではなかなか実施が困難な状況にあるのも事実だ。しかし最近では多くの州で富裕税議論が行われ、住民投票が行われる州も近い内出てきそうである。ところが市のレベルでの富裕税的な課税を行う住民投票が実施されているところもある。ロサンゼルス市も昨年11月の住民投票にてMeasure ULA(United For LA)が認可された。これは、貧しいホームレス対策の一環として課される税金で、今後不動産を500万ドル(6.5億円)以上で売却する場合には4%、1000万ドル(13億円)以上の場合5.5%のTransfer Tax(不動産移転税)を課すというものである。今回このTransfer Taxの事をMansion Taxと呼んでいる、日本でのマンションと違い、アメリカでいうマンションは大邸宅、豪邸という意味に使われている。
このTransfer Taxは現行では0.56%だが、4月1日より新しい税率となる。まさか、Measure ULAが住民投票により成立されるとは考えていなかった富裕層も多く、慌てて3月末までに不動産の売却を急いでいる者も相当いるとか。確かに500百万ドルで売却となれば、20万ドル(
2600万円)が、1000万ドルであれば、55万ドル(7000万円)が余分なTransfer taxとして払わされることになる。ロサンゼルス市はダウンタウン周辺だけではなく、南はSan Pedro、西はWest LA、Brentwood、Westwood、Bel Air、北はEncinoを含むサンフェルナンドバレーを含む大きな地域であり、ビバリーヒルズなど高級住宅街も多々あるので、今後の不動産市場にかなりの影響がでると専門家はみている。
UCLA(キャリフォルニア大学ロサンゼルス校)の分析によれば、このMeasureによる影響は商業不動産施設を含めた全不動産取引の4%ほどであり、戸建てやコンドミニアムの取引では3%未満となるとしている。割合としては小さいが、金額的には大きなものとなる。例えば、これが2021年に実施されていたとすれば2021年7月から2022年6月までの税収は9億ドル(1200億円)となり、現行の2億700万ドルを大きく上回ることになる。
このMansion Tax、実は既に他の都市でも実施されている。例えばサンフランシスコでは6段階になっており、100万ドル(1.3億円)以上が0.5%となり、2500万ドル(32億円)以上で6%となる。ニューヨークでは300万ドル(4億円)を超えると売手に2.075%、買主に1%-3.9%課税される。2020年にはCulver Cityが4段階で発効しており、150万ドル以下で0.45%、1000万ドル以上で4%となっている。またサンタモニカ市は、3月1日より現行の500万ドル未満で0.41%、500万ドル以上で0.71%であるのに加え、800万ドル以上で5.71%という税率が加えられた。シリコンバレーのサンノゼ市は100万ドルを超えると1.5%課税される。日本もいつ取れるかわからない富裕層の相続税を議論するより、また延納や納税猶予制度により相続人から取れない相続税に頭を絞らないで、確実に取れるこのような富裕層の税金を考えた方が賢いのではないか。

推薦図書。
塩野七海著 「誰が国家を殺すのか、日本人へ」文芸新書 950円+税
表紙にはこう書いてある「民主政は、民主主義者を自認する人々によって壊される」と。この本のなかで、政治でも経済でも、失敗した者にもう一度チャンスを与える敗者復活が1000年以上も続いたヴェネツィアの基本政策だった。資源のない小国で人間を活用するしかなかったからだ。岸田内閣で大臣が4人も辞めた。いや辞めざるおえなかったのだが、野党はこぞって首相の任命責任を追及した。岸田首相はその後釜に大臣経験者ばかりを据えた。これなどは愚の骨頂である。大臣になって、何をするかもわからない新進気鋭の議員を大臣に任命できなくなり、日本のためにならない、就任してダメであれば首にすればよい、任命責任など問うのは愚。だと、同感である。

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