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税率下げ議論の愚

安倍首相は法人税率を30%以下にすると公約した。今どき法人税率が30%を超えているのは、日本とアメリカぐらいのものである。しかし今、政府税制調査会では、法人税率を下げる代わりに、租税特別措置法で優遇されている試験研究費や特別償却を見直すとしている。つまり、税率は下げるが、法人税収そのものは維持したいとしている。財務省のいつもの手である。見かけだけの減税で、実は減税ではない。実効税率は変わらないのである。

 

世界では法人税に関して大きな議論がある。世界を股にかけている多国籍企業が租税回避を求めて、税率の低い国に利益を集めるというもの。これは「税源侵食と利益移転」という。通称BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)といい、アメリカなどでは本来払わないといけない法人税を自国に払っていないという指摘が盛んである。つい先日、アメリカ会計検査院、通称GAO(Government Accountability Office)が発表したのは、米国の多国籍企業が負担している法人税は、表面税率(Statutory rate)と実効税率(Effective rate)にはかなりの乖離があることが明らかになった。

 

調査方法としては税引前利益と法人税の負担との割合で実効税率を計算するというもの。GAOはその持っている権力から、法人の決算書や税負担を容易に手に入れることが出来るので、実効法人税率を正確に把握することができた。その結果、連邦所得税申告書(M-3様式/日本でいう法人税申告書別表四)によるアメリカ法人の法人税の全世界税引前所得によるアメリカ連邦法人税の負担割合は13%、地方税である州税、市税を含めても17%にしかなっていない。しかも、この数字には赤字法人は含まれていないのである。

 

所得税率もアメリカと日本ではほとんど変わらない。しかし、4000万円超の所得のある者は、日本とアメリカでは2倍の税負担の違いがある。相続税にしてもそうである。最高税率は日本は来年から55%、アメリカは39.6%であるが、基礎控除は日本の5000万円に対してアメリカは5億5000万円である。表面税率だけをマスメディアは言うが、実質の税負担は天と地ほどの差がある。これではキャピタルフライトが止まないのも無理はない。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
山中俊之著 『日本人の9割は正しい自己紹介を知らない』 祥伝社 1500円+税
著者は元外務官僚。日本人の自己紹介の方法は海外では通用しない。これはわたしも同感である。日本人は先ず、勤めている会社から入る。「××会社の○○です」これは外国ではダメである。本人の専門性や個々の能力を優先する世界標準の「プロトコール」(コミュニケーション上のルール)では、最後に会社名を言う。「プロトコール」で以下の原則がある。
(1)相手の国、民族を心から尊敬する。(2)常に相手の立場に立ち恥をかかせない。(3)日本人同志で固まらない。(4)夫婦単位を重視する。
日本人は国際的ではない。いつもAfter you(お先にどうぞ)を忘れてはいけないとしている。

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