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アメリカ税務調査、時効成立の複雑さ

アメリカ連邦税関連のIRSの税務調査に係る時効は一応3年(日本は3年または5年)と定められているが、例外もある。例えば収入が極めて過少(過少申告)と判断された場合、時効期限は6年まで延長される。一般的に、総収入の25%以上を除外したとされる場合には、過少申告と判断されるのだ。例えば実際20万ドルある収入を14万ドルしか申告していない場合には時効期限は6年となる。更に、もし含めなかった6万ドルが不正や詐欺行為に関わる収入と判断された場合には時効がなくなり、税務調査の際には過去何十年、無期限に遡り調査をされることになる。
更に除外した収入が外国からの収入で5000ドル(75万円)を超える場合である。この場合、その時効期限は6年となる。時効とは別にもし海外の金融口座からの利息や配当収入であれば、外国口座情報(FBAR)の申告をアメリカ財務省に申告を行う義務がある。さらに海外の法人等の持分を所有しそこからの配当収入等であれば、Form 5471を申告書と共に提出しなければならない。Form 5471及び FBARを提出していない場合には、それぞれ1万ドルの罰金があり、更に追加での罰金や刑事罰を受けることもありうるので国外に関連した収入がある者は、税務申告では神経質になる。
私のオフィスがあるカリフォルニア州はどうであろうか?カリフォルニア州での時効期限は4年である。但し、無申告、重大な誤り、不正がある申告書に対しては時効はなくなり、無制限となる。カリフォルニア州税率は全米でも高いことで知られ、個人住民税の最高税率は14.4%、法人地方税の最高税率が8.84%である。また、日本では考えられないが、カリフォルニア州の外の州へ引っ越しをして、そこで居住していてもカリフォルニア州税を課して追いかけてくるので注意が必要となっている。
IRSの税務調査で追徴課税が発生した場合には、6か月以内にカリフォルニア州の税務当局であるFranchise Tax Board (FTB)に通知することを義務付けている。そしてFTBに通知しない場合は時効がなくなるので、10年後に仮にニューヨークに住んでいようともカリフォルニア州からの追徴徴税の通知を受け取ることになる可能性がある。それでは逆にFTBによる税務調査が入り、調査が終わるまでにIRSの時効を超えていたような場合だが、この場合FTBによる追加徴税が発生していてもIRSでは時効が成立しているので税務調査は行えないということになる。税務調査結果に不服がある場合には、IRSの場合、IRS Appeals Officeに上訴を行い、それでも解決しない場合には US Tax Court(税務裁判所)にて争うことになる。FTBの場合 California Office of Tax Appealで争うことになる。但し、これらの裁判所でのバトルは厳しいものとなるのが通例で、税務専門の優秀な弁護士を雇うことがアメリカでは必要となる。日本では税務署の判定が不服の場合は国税不服審判所に、それでも裁決が納得いかなかったら地裁に行くが、税務は複雑で多くは税務素人の裁判官が裁くが、アメリカでは税金問題専門の裁判所があるので判決にはアメリカ人の信頼性がある。いずれにしても日本の場合は国税地方税とも、明確な時効制度があるので、アメリカでの時効制度にアメリカ進出企業や個人が戸惑うことが多い。

☆ 推薦図書。
長嶋修著 「マンションバブル41の落とし穴」 小学館 990円
最近の都心部のマンションの値上がりが著しい、建築単価の上昇と相まって価格高騰が止まらない、都心のマンションを中心にバブル期超え最高値を更新中だ。しかし実態は玉石混交で、マンションはその資産価値を維持できるのと、維持できないマンションとの物件格差がかつてないほど広がりを見せている。本書は資産価値が上がる「選ばれるマンション」と資産価値を落とす「選ばれないマンション」。その違いを様々なマンションの「落とし穴」を具体的事例をもとに提示し、資産性が落ちない「選ばれるマンション」の選び方、住まい方を解説した本である。

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