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軽減税率の導入をEUに学べ、日本の消費税論議

今年4月から消費税は5%から8%に引き上げられた。わずか3%引き上げるのに17年間もかかった。消費税1%の引き上げは国会ではテンヤワンヤの大騒ぎである。欧州をはじめ、ほとんどの国では知らない間に引き上げられている。国民の為の税金だからである。ところが日本では消費税は逆進性、つまり金持ちも、貧乏人も同じ負担だから不公平であるという理論。所得税でも相続税でも累進課税が当たり前の国、収入が2倍になったら4倍税金を払うというのが正論だそうだ。消費税3%を引き上げるのに17年かかったが、相続税や所得税の最高税率を50%から55%に来年引き上げられるのには何の議論もなかった。金持ちには冷たく、貧乏人にはこれほど優しい国があろうか。

 

本当に働けない人々の生活保護家庭はやむを得ないにしても、「働くのが嫌」だとか「好きな職にありつけない」等の理由で生活保護を受けている者もけっして少なくない。今や160万世帯をゆうに超えている生活保護家庭。これらの生活は税金で補われていて、しかも教育費や医療費は無料ときているから、へたな非正規労働者より、よっぽどマシな生活を送れる。この辺りの人々を政府が消費税増税の犠牲者だとして、手厚い保護をしないといけないとしている。

 

さらに来年から消費税は10%になる。公明党などは弱者救済で、生鮮食料品などは消費税を軽減すべきだとして譲らない。10%になるのはそんなに大ごとか?ヨーロッパの国のほとんどは20%以上である。ヨーロッパでは、消費税といわず付加価値税、VAT(Value Added Tax)という。20%までくると軽減税率の必要性を感じなくないが、実際に導入しているEU諸国は、この軽減税率の導入に皆、後悔しているのである。OECDの総会でもVATの課税ベースはもっと拡大されるべきで、過去のイギリスのように軽減税率によって予想税収の5割以上が消失された件でも明らかであり、軽減税率は導入すべきではないとしている。

 

ラムゼイルール(Ramsey Rule)というのがあって、個別の財に対する税率は、その財に対する需要の「価格弾力性」に反比例するように決定されなければならないとする。つまり、贅沢品に対しては低い税率で課税し、生活必需品に対しては高い税率を適用する。

 

フランスではキャビアが標準税率(19.6%)だが、フォアグラは軽減税率(5.5%)である。なぜならフォアグラには国内産業を保護するため軽減税率が適用されるが、キャビアは高級品かつ輸入品であるために標準税率が適用される。そうすると我々はフランスに行ってキャビアを頼みたかったが、フォアグラに代えることは十分考えるし、国から見れば租税負担の回避になるだろう。もっと言えば、食料品でもマーガリンは標準税率だがバターは軽減税率である。これはバターを製造する酪農家を保護する目的である。もう一つ言えば、普通のチョコレートは標準税率だが板チョコは軽減税率である。フランスも軽減税率を当初認めたため後戻りができない。

 

これによっておわかりのように、食料品には軽減税率を、と叫んでいる国会議員が多いが、軽減税率を導入したところで貧乏人だけに限らず金持ちもその利益享受を十分受けることができるのである。

 

 

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