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民主党大統領候補、Elizabeth Warren女史の税制改革案

今回は、前回Forbesに紹介されていたBernie Sandersの税制改革案に引き続き、民主党大統領候補者のひとりElizabeth Warren女史の税制改革を紹介する。Warren女史はもともとハーバード大学の教授をしていたが、リーマンショック後ウォ-ルストリート改革や消費者保護に関し議会でのアドバイザーを務めるようになり、その後2013年にマサチューセッツ州から上院議員として当選し、現在に至っている。輝かしい経歴である。

Warren女史の税制改革は、トランプ税制を撤廃することを明確にしている。彼女が大統領になれば、所得税、法人税、相続税の詳細はまだ発表されていないが、最高税率が上がることは間違いない。ペイロール税(給与)に関しても社会保障費の増加に伴い、年収25万ドル(2700万円)超の給与所得者に対しては、新たに14.8%の税率を設けることを提唱している(現行は12.4%)。法人税については全く新たなコンセプトで課税をしようとしている。例えば、大企業に対しては、課税所得に対して課税をするのではなく、株主に報告する財務諸表上のBook Incomeに対して課税することを提唱している。これは、アップルやグーグルなどの大企業が多大な利益を出しているにもかかわらず、ほとんどアメリカで税金を納めていないという事実に基づいたアイデアのようだ(日本ではソフトバンクなど)。

しかし、なんといってもWarren女史の税制改革の目玉は、Wealth Taxだ。これはBernie Sanders議員も提唱しているが、Warren女史は今後10年間で富裕層のトップ7万5000世帯から2兆7500万ドル(300兆円)の税収を見込む計算をしている。現在の案では、5000万ドル(55億円)を超える純資産に対し2%の課税をするとしている。彼女の選挙運動で支持者たちが“Two Cents”と叫んでいるのは、この数字を指している。さらに、10億ドル(1100億円)を超える資産に対しては3%の課税を行うとしている(日本では3億円超で55%であるのに対して夢のようであるが)。

ただし、このWealth Taxは憲法上合法かどうか問われることになると、否と、多くの専門家は指摘している。これはArticle 1 Section 9 Clause 4 で定められているDirect Taxの禁止に抵触をするのではないかという懸念である。憲法制定当時、奴隷を多く抱えていた南部は、奴隷に課税をされては困るということで、北部にも公平な負担をさせるため、奴隷数に対してではなく、全州の人口数を基に各州の人口数に按分して課税を行うことを憲法上定めた。過去には1794年と1894年に最高裁で争われたケースがある。1794年のケースで争われた税金はDirect Taxではないと司法判断され、1894年ではDirect Taxは憲法違反であると判断された。

Warren女史は増税政策により、気候変動、子供養育費、大学等高等機関の教育費、社会保障費に充当する考えだが、しかし、あるテレビ番組で司会者からのミドルクラスに対する増税も考えているのかという質問には答えなかった。いずれにせよ、今迄の米国税制とは全く変わったものになるということ。現在民主党の大統領候補の支持率はBiden、Sanders、Warren女史の順位だが、最近ではSandersを追い抜く勢いがあり、集会も一番の熱気を帯びていると伝えられている。資本主義の最極端にいるアメリカであるが、超富裕層の中にはビルゲイツのように増税をして欲しいと叫んでいる者もいるわけだが(本音かどうか?)、これもアメリカ的だが、過去に富裕層をいじめて大統領になった者はいない。アメリカの強さは富裕層がいることであると思うのだが。

☆ 推薦図書 ☆
中西崇文著 『稼ぐAI』 朝日新聞出版 1500円+税
小さな会社でも今すぐ始められる「人工知能」導入の実践ステップ。というタイトルである。中小企業がAIを導入できる、それで成功するという事例を交えて解説するという本である。
仕事ではAIを活用するためには、技術面のデータサイエンティストと仕事上の課題のイシューの二つの視点が求められる。
今までの「自動化」とAIの「自動化」は異なる。前者は、人があらかじめ記述した手順を自動的に実行する。AIは人が与えた訓練データからAIが学習し、自動的に判断し、適切なアクションをする。
AIを使いこなすには、「なにに対して」を考えなければならない。要するにイシューを明確にしなければならない。イシューを活用するプロセスは以下の四段階。
①表出化 ― 問題点を言語化しAIに適用できるようにする
②要件化 ― サブイシューを解決する為に必要な要件を、すべて掲げる
③データ化 ― ②の要件を検討する
④指標化 ― イシューを解決するために、どのように判別するか
アサヒビールではこれを応用して、この精度が上がってくれば、ベテラン社員の経験と勘と、AIからの値の両サイドから生産計画を検討していくとしている。

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