アメリカの国税庁(IRS)は、オバマ政権下この5年間でタックスヘイブンに預金を持つ者4万5,000人から65億ドル(6,500億円)を追徴課税し、そのうち100人以上を刑務所に送った。益々激しさを増すIRSの取り締まりに対し、以前にも書いたが米国市民権やグリーンカードを捨てる人たちの数が記録的に伸びている。
また、IRSはタックスヘイブンにあるどんなに小さな預金口座でも、そして、その申告の意味がよくわかっていない無知な者までもどんどん取り締まりを強化した。それゆえ国民から非難されだしたのだ。そのようなことも反映して、今回意図的にタックスヘイブンにある口座を隠蔽するのではなく開示をしなかった人たちにはペナルティ課税を無くした。一方でタックスヘイブンにある預金口座を隠蔽し続けた後、その預金口座のある銀行がアメリカ当局の査察を受け暴かれた場合は、追徴課税する額が預金口座残高の27.5%から50%まで引き上げられる。つまり預金の半分を持っていかれてしまう。
以前のIRSのルールでは罰金の軽減を適用する者は1,500ドル以下の課税のある者に限定されていたが、改正でこの適用はなくなり、軽減適用者は「故意に隠蔽をしていない者」という定義に変わった。この「故意に隠蔽をしていない者」とは、アメリカ国外の居住者はアメリカ国外の収入及び資産を開示しなかった、ということに対する追徴課税が無くなり、もし見つかっても過去3年間の課税分を支払えということで済むことになる。日本に住んでいる米国との二重国籍者などには有難い改正である。また、これに該当する米国の居住者は課税額及びペナルティは最高で5%になった。このような新ルールは、例えば1,500ドル以上の課税があった者は、今まで残高の27.5%の追徴課税があったのが劇的に安くなるので、今のうちに正しい申告に切り替える者が多数出てくると予想される。
この度、アメリカIRSは米国人およびグリーンカードホルダーに驚くべき緊急通達を出した。以下10銀行で預金口座を開設している者は今すぐにIRSに出頭せよと。そして、これらの銀行に預金を持つ者には預金残高の50%の追徴課税を課すと宣言した。これらの銀行はいままで刑事罰を受けた銀行以外の銀行も含まれており、イスラエル、スイスや他の銀行が含まれている。以下の銀行は、過去5年間の取締りの中で米国納税者が白状して得た情報の集積である。IRSとアメリカ政府は米国外に預金を持つ者に対しての攻勢を今後益々強めていくことになる。オバマ大統領は雇用と投資を最重要視している。富裕層の節税対策はアメリカ国内の金融機関でやってくれというわけである。そのためにデラウエア州をはじめ節税商品を用意しているじゃないかと。
以下の銀行に口座を有する米国人および米国永住権者には出頭命令が出ている。日本に今いる人も対象なので、よく見てほしい。
1. UBS AG
2. Credit Suisse AG, Credit Suisse Fides, and Clariden Leu Ltd.
3. Wegelin & Co.
4. Liechtensteinische Landesbank AG
5. Zurcher Kantonalbank
6. swisspartners Investment Network AG, swisspartners Wealth Management AG, swisspartners Insurance Company SPC Ltd., and swisspartners Versicherung AG
7. CIBC First Caribbean International Bank Limited, its predecessors, subsidiaries, and affiliates
8. Stanford International Bank, Ltd., Stanford Group Company, and Stanford Trust Company, Ltd.
9. The Hong Kong and Shanghai Banking Corporation Limited in India (HSBC India)
10. The Bank of N.T. Butterfield & Son Limited (also known as Butterfield Bank and Bank of Butterfield), its predecessors, subsidiaries, and affiliate
☆ 推薦図書 ☆
橋本英樹著 『お寺の収支報告書』 祥伝社 800円+税
現役の住職の本である。自ら檀家制度を廃止し、腐りきった仏教界にもの申すである。「坊主丸儲け」のことわざ通り、宗教法人の収支計算書、財産目録はデタラメであり、しかもほとんど税金を払わない。寺に入るカネは住職のものであり、檀家からのお布施は当然、自分のカネ、使いたい放題である。本書は仏教界を堕落させているお金や制度について警鐘を鳴らしている。特に次のような住職がいる寺とは縁を切ったほうがいいという。イ.お墓を移るときお布施を請求する。ロ.やたら「今の日本人は信仰心が薄くなった」と言う。ハ.ベンツなど高級車に乗っている。ニ.ゴルフをよくする。ホ.跡継ぎ息子が勉強できないアホ。ヘ.税金を払わない、等々である。宗教法人課税も考えさせられる本である。