ブログ

アメリカ大統領選挙、民主党候補者の税制改革案

今アメリカでは、民主党大統領候補の討論会が盛んに行われている。バイデン元副大統領が数字的にはリードをしているが、まだ1年以上ある大統領選は長丁場なので、まだまだどうなるか不透明である。先ほどフォーブス誌は民主党候補による各々の税制改革について記載した。まずは、社会主義者呼ばわりされているBernie Sanders議員。

その前に、現在のトランプ大統領が行った税制改革の目玉であり、2018年に発効されたTax Cuts and Jobs Act (TCJA)だが、年収5万ドル(550万円)以上の納税者の90%以上に減税となっている。しかし、ほとんど評価されない。どうして、減税されているのに評価されないのか?それは、当初、中産階級に対する減税だと言っていたが、実は富裕者が一番に恩恵を受けているという事実が明らかになったから(実にアメリカ的である)。この現実は多くのアメリカ人にとっては我慢ならないことであり、今回の民主党候補にとっても重要な攻めどころとなったわけだ。

ある候補者は80年代に戻り最高所得税率を70%にしたいとする者もいれば、Elizabeth Warren女史のように資産に対し富裕税を掛けるという者もある。これは色々な問題を抱えているわけだが、有権者の61%はこれに賛同している。

それでは、Sandersの税制改革はどうなっているのか?彼は国民皆保険や大学授業料の無償化を提唱しているので、それなりの財源は必要となる。つまり重税を課す税制改革であるということになる。個人所得税は現在、TCIAにより税率は10%、12%、22%、24%、32%、35% 37%の7段階となっているが、利息、投資所得が大きい高額所得者には更に3.8%の追加課税が行われるということで、最高税率は40.8%となるという計算である。これがサンダースSandersの改革案だと、現行の7段階から、14%、16%、26%、28%、36%、39%、44%、54%、56%の9段階となり、更に3.8%のチャージも残るので最高税率は59.8%となる計算で、日本の所得税率の最高より上だということになる。

また、キャピタルゲイン課税及び配当について、現行は、短期は通常の所得税率と変わりなく、1年以上保有の長期では所得税率が10%及び12%となっているが、改正案では原則ゼロ、一定以上の所得の段階の納税者は15%及び20%となっている。Sandersのプランでは所得が25万ドル(2600万円)以下では変わらないが、それ以上になると所得税率で課税されると謳っている。キャピタルゲイン課税ついては、キャピタルゲインの85%がトップ富裕者層2%のものであるという事実があるので、この取り扱いについては大きな議論となる予想である。

ペイロールタックス(給与)及び項目別控除についてもサンダースは、25万ドル以上の所得者には税率が厳しくなるとしている。また、相続税については、35万ドルから100万ドル(11億円)の遺産に対しては45%、100万ドル~5000万ドル(55億円)については50%、5000万ドル~1億ドル(110億円)については55%、1億ドル以上には77%の相続税を課すとしている。Step Up Basisは廃止するとしている。一方、法人税についてはまだ具体案を示していない。

Sandersの案は今後10年にわたり16兆ドルの増税を図るというもので、トランプ減税の1.5兆ドルとは正反対となっている。アメリカでは社会主義者呼ばわりされているSandersの計画が受け入られるか。富裕層に課税強化した者で大統領になった者はいないが。

☆ 推薦図書 ☆
タイラー・コーエン著 池村千秋訳 『大分断』 NTT出版 2400円+税
現在、世界中がインターネットで結ばれ、多文化主義が強まる中、世界は大きく変化している。しかしアメリカでは開拓者精神が減退し、変化を望まない人が増えている。
この本はこうした「現状維持志向」がもたらすマイナスを指摘し、変化しないことに警鐘を発している。
著者は3つの層からなる「現状満足階級」を掲げ、所得、教育レベルは様々だが、いずれもリスクを嫌い、行動パターンを変えず、自分と似た人と付き合うとしている。現状満足は、社会と経済の活力が減退し無変化になると、階層の固定化が進む。つまり社会活力の喪失である。
①  中産階層が縮小し、明白に「貧困」若しくは「裕福」な地区で暮らす世帯が増えている。
②  富裕層や教養レベルの高い層は、自分と同じ層の人が多いところで暮らしたがる。
③  教育も受けていない、過去も現在もひどい暮らしをしている人たちとの人種統合がない。
アメリカは平和で安全な国だが、段々と新しい活力源を生み出す力を失いつつある。一時的な現象ではなく、構造的なものである。という。

関連記事

  1. 日米の大臣にこれだけの格差
  2. アメリカ人の税金、抜け穴の大きさ
  3. アカデミー賞候補者へのギフトに課税?
  4. 日本人の特別優遇廃止、日米租税条約により
  5. オバマ政権、富裕層への締めつけ強化
  6. 巨大企業の節税策、ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドイッチとは何…
  7. オバマケア、日米健康保険の違い
  8. アメリカの超富裕層はどこの国のパスポートを買っているか?

アーカイブ

PAGE TOP