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アメリカ個人所得税の現実とバイデン大統領の税制

WSJ(ウオール・ストリート・ジャーナル)に2022年度の個人所得税に関するクイズが掲載された。次の選択肢AからDのうち正解はどれでしょう。(正解は1つ以上でも構いません。)
というもので、かく言う私も全問正解とはならなかった。
A. 個人所得税収は連邦税収総額の35%を占める。
B. 1億8千万の納税者の殆どが下層所得者であり、約70%が年収10万ドル(1300万円)未満と予測され、米国個人所得総額の約30%を占め、全個人所得税の約1.5%を負担している。
C. 納税者の約25%が年収10万ドル(1300万円)から50万ドル(6500万円)で、個人所得総額の約50%を占めると予測される。この層は個人所得税の約50%を負担している。
D. トップの納税者は年収1百万ドル(1憶3000万円)以上で約90万の納税者がいる。個人所得総額の約16%を占めると予測され、全個人所得税の約40%を負担している。
日本人のあなた、いかがでしょうか (正解は末尾)
ここでの数字はStaff of Congress’s Joint committee on Taxationのデータを WSJが分析したものだが、2022年の税収割合は、個人所得税が54.2%、Social Security 30.3%、法人税8.2%、その他4.9%、相続税・売上税0.6%となっている。
このデータでは一番所得の低い納税者層は、年収5万ドル(650万円)以下で全体の43%に当たる。彼らの所得は納税者所得総額の約10%に該当するが、実際の税金支払負担率はマイナス4.8%となる。これは、所謂Working Poor(働く貧困層)とされる人たちを保護する為に設定されたEarned Income Credit及び Child Tax Creditにより生活保護的に還付を受けている形でである。
このデータによれば、個人所得税の約80%は、年収20万ドル(2700万円)以上の納税者により支払われており、その中でも年収1百万ドル(1億3000万円)以上の納税者が個人所得税の約半分を負担している。また、2022年度は年収20万ドルから50万ドルの納税者は1400万人と予測される一方、年収1百万ドル以上の納税者は90万人いると予想される。この層の違いは、前者の主な収入源は勤労所得だが、後者はキャピタルゲインや配当等の不労所得である。アメリカでは富裕層のほとんどが勤労所得は低い、年収1百万ドル(1憶3000万円)の納税者数は、2018年には59万7,000人だったものが、コロナ下にもかかわらず、2022年には91万7,000人まで増加する予想で、これは実に54%の増加となる。キャピタルゲイン課税では長期投資には20%の優遇税率が適用される為、バイデン政権が、ここに目を付け、富裕層増税もしくは優遇税制の制限を図ろうとしている。昨年岸田首相も同様の事を考えたが、自民党税制調査会で潰された。従ってアメリカ議会で本当に実行することが出来るのかは、まだまだ不透明である、富裕層からの税収が全体の個人所得税収に大きく寄与しているとことは否めない。どこまでバイデン政権が富裕層税制改革に取り組めるのか注目する必要があるが、歴代大統領は主張するだけで、実行されたためしがない。その点、日本では富裕層いじめが健在である。誇るべきことか、海外脱出を促いしているのか、これからの問題か。
「正しい回答は、Aを除き全て正解となる。」

推薦図書。ダニエル・ソカッチ著 鬼澤忍訳 「イスラエル 人類史上最もやっかいな問題」 NHK出版 2860円
私がもの心ついたときから、イスラエル・パレスチナ問題が年中行事のようにある。今もである。この本の原題は「Can we talk about ISRAEL」である。ヘブライ語聖書において、神がアブラハムに告げた「あなたの子孫にこの地を与える」という約束を信じ、1948年にイスラエルを建国した。紀元前1000年頃、ローマ帝国時代にユダヤ人は迫害され、その後差別・迫害の歴史の連続で、東欧ではユダヤ人の職業は商人と金貸し業に限定されていた、ようやく19世紀末に新大陸アメリカに逃れる者も多くいた。しかし当時アメリカも安全ではなく、侮辱され続けられたユダヤ人が未来を築くためできることは一つしかなかった。それは故郷に帰ることである。そしてイスラエル国家が樹立されることになる。一方パレスチナ人の起源は複雑である。様々な民族が混ざり合っている。その中にユダヤ教も入っているので、パレスチナ人のなかにはユダヤ人の子孫もかなりいる。しかしイスラエルも同じ悩みがある。アラブ系国民が20%を超える、したがって、彼らはイスラエルのなかでは決して平等ではなく大きな差別を受けている。この本は現状を訴えているが、決して解決策を示してはいない。原題のようにイスラエルについて話しているだけなのである。しかし日本人にとって中東を知る良い本である。アメリカでは金融はユダヤ人が握っていいる、これも歴史からか。

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