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アメリカの財政事情?日米の差

この前、アメリカ議会予算局(The Congressional Budget Office=CBO)が今後10年の歳入及び歳出の予測を行った。ウオールストリートジャーナル(WSJ)を初め 経済紙でその報道がされている。CBOによると、今後10年でアメリカの借金は19兆ドル(2600兆円)増加し、これは現在の借金がGDPの97%であるのに対し、この比率は10年後には118%になるという計算だ(日本は250%超)。アメリカでは歳入が歳出を上回ったのは1940年と1998年から2001年のみで、その後歳出は増加し続けている。2008年のリーマンショック、2020年のコロナ感染により国の歳出は爆発的に増加している。歳出の増加とともに借金も増加し、CBOの計算によれば、2023年で1ドルの歳入に対し12セントの利息を支払っているが、2033年には、この1ドルの歳入に対し20セントになるという計算である。
これはベビーブーマーがリタイヤしたことによる社会保障費(特にSocial Securityや Ⅿedicare)が大きい負担となり、2022年のGDP比は7.6%で、2033年には10.2%となる。CBOによれば、社会保障費のファンドは2032年に枯渇すると予測している。また、国債の利払いも増加しており、GDP比でいえば、2022年1.9%であったものが、2033年には3.6%となる計算だ。この利息支払いの増加は、金利上昇もあるが、一番の問題はアメリカ合衆国の借金自体が大きくなっていることである。
アメリカの借金の状況はかなり深刻である一方、連邦債務は上限に近づきつつあり、財務省はこの7月に上限に到達するので、議会で早くこの上限引き上げを議決するよう警鐘を鳴らしている。バイデン大統領と民主党は社会保障費の削減はしないと主張しており、現在の世界情勢を考慮すると防衛費の削減はあり得ない。今後共和党との交渉となるが、歳出の削減もしくは増税を行わない限り、借金の削減は出来ない、恐らく、農業補助金、国立公園、福祉、学校教育等他の分野の支出の削減が行われる方向になるであろうことは想像に難くない。
CBOの予測では、トランプ前大統領時の2017年に発効したTax Cuts and Jobs Act(TCJA)の有効期限がくる2025年以降税収は伸びると予想しているが、議会がTCJAの全ての項目を維持した場合、3兆ドルもの税収が下がると予想している。アメリカ合衆国の借金問題がどう処理されるのか注目されるが、日本の借金はアメリカ合衆国以上に深刻で2022年時点でGDP比262.5%と言われている。今後日本においても、いつ何を削減するのか、増税を行うのか、未来の子供たちに借金を残していくことになるのか、今後厳しい決断を迫られるが、北朝鮮や中国の脅威に対して岸田首相が増税を打ち上げても、野党は応じず、結局赤字国債に頼る。何も対策が打てない与党と、スキャンダルを追いかける週刊誌野党。この国は一体どこに行くのだろうか。

☆ 推薦図書。
パブロ・セルヴィーニュ/ラファエル・スティーブンス著 鳥取絹子訳 「崩壊学」草思社 1210円
地球はここ20年、崩壊の兆しが顕著になってきた。例えば世界人口は、過去8000年は約1000年ごとに2倍になっていたのだが、わずか100年で2倍になり始めた。1830年には10億人だった人口は1930年には20億人を超え、1970年には40億人、2015年には70億人を超えた。これらの人口を支えるのはエネルギー消費量、しかし石油生産はピークに達し、鉱石や金属も同じである。それ以上に切迫した脅威は金融システムの脆弱だ。このシステムは複雑なネットワークで成り立っていて、銀行、保険業者など無数の中間業者が絡んでいて相互依存の連鎖反応が起きやすい。気候変動や洪水、地震なども深刻な問題である。世界のグローバル化によりすべての分野、地域は相互に依存するようになった。それらを支えるインフラなど1つが崩壊すれば世界全体を揺るがすまでになっている、産業文明は脆弱なのである。

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