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税務署員に拳銃は必要か?アメリカIRS

以前、アメリカIRSには、かなりの銃器と弾丸の在庫があるとブログで書いた。また、直近のInflation Reduction Actにより今後10年間に800億ドル(11兆円)もの予算が付いた。これにより、人員及びITの拡充が主に行われる予定であるという。今後、銃器等の装備も増強され、IRS内でSWAT (Special Weapons And Tactics)Teamとよばれる特殊部隊が組成されるのではと懸念する人もいるとForbes誌は伝えた。保守系議員の中には、そもそもIRS署員の仕事は申告書の手続きと税金回収だけなのに、どうして拳銃や自動小銃が必要なのかとテレビ番組で疑問を呈している。
映画The Untouchableを見ればわかるように、アル・カポネを捕らえたのはIRS署員であり、IRSはこのような危険人物を税金回収の為に、この100年以上追いかけているわけである。このように銃器を携帯している署員は普通の署員ではなく、彼らは犯罪性のある案件を追いかけるIRSのCriminal Investigation Divisionに属している。100年前はもともとIntelligence Unitとよばれ、1919年に6人の署員から始まり、アル・カポネ逮捕に導いたElmer Ireyが初代Unit長に指名されている。これらの署員は1930年代には、警察もFBIも捕らえることのできなかった数々の犯罪組織の中心人物を捕らえているのも事実だ。
当時Intelligence Unitの署員は深刻な犯罪に対し、帳簿や銀行出入金記録で怪しい動きを探し回っているわけではなく、実際犯罪組織の潜入捜査を行い、かなり危ない橋を渡っていたという。当時のFBI長官J Edgar HooverもFBI捜査員を犯罪組織へ潜入捜査を行うことはさせなかったと言っている。なぜなら自分のFBI捜査員に自信がなかったと述べているのだ。だが、メディア上では手柄はFBIとなっていた。彼らは当時あらゆる産業に災いをもたらしてきた様々な不正な金儲けスキームを暴きつぶしていった。IRS署員は税金を回収するだけだという人もいるが、このようなかなり危険を伴うこともあり、銃器の携帯が認められたというわけである。
これらの話は90年以上の前の話かもしれないが、現在のCriminal Investigation Divisionの署員は変わらずに危険にさらされているのも事実だ。特に現在に至っては薬の売人、テロリスト、資金洗浄等、犯罪組織が全世界に動くようになり、複雑化、凶悪化している。アメリカでは署員が刺されたり、撃たれたりということもある。つまり彼らが相手にしている納税者というのは、犯罪性の高い人たちで、必ずしも自宅の夕食に招くことが出来るような人たちではないということである。今後予算の増強によりそれだけの装備が強化されることはあっても、IRS署員の銃器の携帯を解除することはまずはない、それに比べて、日本はいかに平和なことか。

推薦図書。
内館牧子著 「老害」 講談社 1600円
このブログで彼女の小説をいくつか取り上げた。「終わった人」などは映画化されたほどである。私はブログに取り上げる理由は、今の社会問題を書いているからである。下手な評論家や大学教授の論文よりよほどましだからである。この本の主人公は85歳の戸山福太郎、元会社経営者で、とっくの昔に第一線を退任している。今は誰構わず、現役時代の同じ手柄話を繰り返す。彼の仲間も老害の人ばかり、昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢。そうかと思えば、無気力、そしてクレーマー。あと10年もすれば団塊の世代がこの年齢に到達する。筆者も私も同じ団塊である。考えさせられる本である。

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