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バイデン大統領,200兆円財政計画における税金対策

バイデン大統領が4月末にThe American Families Planと題した今後10年間での1兆8000億ドル(200兆円)の財政計画を発表した。この計画は今後10年で1兆ドルの支出、8000億ドルは低所得者・中間層向けの減税及び税額控除となり、子育て及び教育への支出を大幅に拡大するというもの。この財源の一部は富裕層に対する増税分1兆5000億ドル分から充当するという。Wall Street Journalによれば、この財政支出計画の中には、この10年間で800億ドル(9兆円)を投入しIRS(国税庁)を強化する税金対策が注目されるとしている。
過去にIRSの予算、署員数、税務調査件数が減少し、弱体化していることをブログで書いた、特に滞納税金回収が遅れており、2011年から2013年にかけ滞納税額が3810億ドル(40兆円)。2019年には5840億ドル(60兆円)、今後10年で7兆ドル(770兆円)となる見込みである。バイデン大統領は、この計画により、今後10年でIRSの強化により7000億ドル(77兆円)回収が進むと言っているが、しかし、これは滞納税額のわずか10%である。今回の計画では今後10年にわたり、8万7000人税務署員を増やし(日本では総税務署員は5万人ほど)、IT面の立て直しを図るとしている。
今回のバイデン計画の中で特に注目されているのが、銀行及びPaypal 及びVenmoを含めた金融機関に対し、口座の入金及び出金の報告を毎年義務付けるというものだ。この報告義務は2023年から適用するとしているが、まだ詳細は示されていない。金融機関にとって既存の報告を少し変更するだけでよければよいが、全く新しいものを作る必要出てくるとなれば反発も必死である。現在でも金融機関はIRSに対し、利息、配当、キャピタルゲイン、住宅ローンの利息の報告、さらには、給与金額はW-2、個人事業主宛600ドル以上の支払いは1099等で義務付けられている、だが、現実は金融口座の実際の動きをIRSは把握出来ていない。
アメリカにおいて、IRSへの申告納税制度は、申告書が正直に全てを申告をしているということが前提だが、日本と同じく虚偽の申告者もいる。バイデンの唱える、銀行口座等の出入金が全てIRSに報告されれば、資金移動が硝子張りになり、脱税が根絶するかといえば、そうではない。IRSも言うように硝子張りにはなるが、収入、支出が、すべて益金、損金になるわけではなく、AIを使っても脱税の防止にはならないのではないかと、アメリカのメディアも言っている。
そうは言うものの、効果は無いことはない、単純に収入を小さく見せ、経費を大きくみせ、脱税を図ろうとする中小ビジネスオーナーの取り締りにはかなり役立つという事である。更に、本命は、バイデン政権がやりたいのが、仮想通貨の取締りである。仮想通貨の申告については、申告書が修正され、その報告が厳しくなっているが、仮想通貨の取引所や保管・管理を行うカストディアンに対しても、1万ドル以上の取引については報告義務を課すとしている。金融機関を含めた大掛かりな脱税者に対する包囲網を張り、かつてのアルカポネ、禁酒法以来の、脱税を厳しく取り締まるという意思表示だが、これをAmerican Families Planと称しているあたり、バイデンも少し皮肉とユーモアを込めたのかもしれない。

☆ 推薦図書。
上野千鶴子著 「在宅ひとり死のススメ」文春新書 800円+税
著者は私と同じく団塊世代で、有名な社会学者、東京大学名誉教授でもある。この本のサブタイトルは「おひとりさまでも。認知症でも大丈夫。慣れ親しんだ自宅で幸せな最期を迎える方法」と書いている。決して主観的だけで書いているのではなく、統計や具体的資料をもとに、さよなら「孤独死」これからは「幸せな在宅ひとり死」へ、著者には家族がいない、基本、ひとりで暮らしている。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、ひとり静かに死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたら、それを「孤独死」とは、呼ばれたくない。これがこの本の根幹である。施設でもなく、病院でもなく、大好きな自宅で、自分らしい幸せな最期を迎えたい。そのための、医療、介護、看取り方の最前線も紹介している。またアンケート調査によると、高齢者の独居か同居、どちらが幸せかというと、はるかに独居高齢者だと。家族と一緒より、ひとりの方が幸せだと、数字を交えながら解説している、勉強になる1冊だ。

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