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アメリカ、仮想通貨に対する課税をさらに強化

アメリカでは先週からミネアポリスの警察官の行き過ぎた逮捕により、黒人が死亡するという事件に端を発した抗議デモが、各地で勃発し治安を揺るがしている。抗議デモに便乗して略奪や火を放つなど暴徒化し、この間、オフィスのあるロサンゼルスでは5日間連続で外出禁止命令が出された。私に言わせれば、大変な営業妨害である。

オフィスがあるトーランスでも、Antifa(Anti-Fascist なる極左団体)がデルアモショッピングセンター(その地域では最も大きい)を襲うと声明を出し、日曜日の夜から水曜日まで警察車両、市バス、装甲車等が動員され各道路が塞がれた。また、トーランス警察は日頃から人種差別的な捜査を行っているとして、Black Lives Matter(BLM)の団体がトーランス市役所前を占拠。パロスバーデス(高級住宅地)にあるトランプゴルフコースでも毎日のようにデモ行動を行っている。日本のTVで見る限りでは、デモ隊も一見平和的に見えるが、実は、し尿の入った瓶やカチカチに凍結させたペットボトルを警察隊に投げるなど過激な行動も多々ある。

1992年、Rodney Kingが警官に過度の暴行を受け、いわゆるロサンゼルス暴動が発生。Kingが “ Can we get along?(仲良く出来ないか?)”と市民に呼びかけた言葉が有名になったが、この時は6日間暴動が続いた。今回はGeorge Floydが警察官の膝で首を圧迫された際の“ I Can Not Breath(息が出来ない) ”と発した言葉がデモのスローガンになっている。残念ながら、まさに、歴史は繰り返えしている。黒人の奴隷解放運動から始まり、キング牧師の市民権運動、さらに現在に至るまで長い歴史があるが、人種差別の問題はなかなか解決されない、永遠のテーマかもしれない。

前置きが長くなったが、Forbesによると、先月いよいよIRS(アメリカ国税当局)が仮想通貨取り締りを強化する前触れということで、Statement of Work Soliciting Consulting Service To Support a Taxpayer examination involving Virtual Currency( SOW )なる通知を出した。これは、Crypto Trader Tax等仮想通貨税金用のソフトウェア会社等専門家と業務委託契約を行い、仮想通貨取引を全く申告していない、もしくは正しく申告をしていない納税者を捕まえようというものだ。これは今後、仮想通貨に関する税務調査を積極的に行うことを示唆している。

IRS は、仮想通貨取引所Coinbase社には顧客数が600万以上あるのに対し、申告を行っているのはわずか800~900人程度ということで2017年に訴訟を起こし、2018年に裁判所は1万3000口座の情報をIRSに渡すよう命令した。2019年には約1万人に対しSoft Letterを出している。これは税務調査を行うとか、申告書が間違っているというものではなく、もう一度過去の申告書をレビューし、間違いがあれば修正申告せよということと、IRSはあなたの申告書は全て把握していると警告するものだと考えられる。

今後だが、SOWでは、専門家にはIRSが提供する資料及び専門家が入手できるデータの分析、仮想通貨のブロックチェーンは匿名であるものの、公の台帳としてトレースしやすいことも確かで、仮想通貨取引所からのブロックチェーンデータ等を分析する。また、彼らは、納税者とのミーテングや裁判所でコンサルタントとして出席し、更に裁判では証言者として証言するとされていて、IRSは本気で取り組む姿勢を見せている。

☆ 推薦図書 ☆
白井一幸著 『答えは相手の中にある』 アチーブメント出版 1,300円+税
著者は元日本ハムファイターズのヘッドコーチで、1983年に日本ハムにドラフト1位で入団し13年間活躍した。その後コーチなど指導者として名声を得たが、特に彼の理論は野球界だけでなく広く一般社会に通じるものがある。私も著者と親しくさせていただいているが、そのスーツ姿はまさに普通のサラリーマン風である。
この本は、選手育成術をビジネスで活用したプロコーチの人材育成方法を伝授している。「人はめざすところにしか行けない、その関わり方が人を育てる」。あなたの組織では、なぜ人が育たないのか、人を育てる3つの育成法を伝授している。なかでも、「目標」と「目的」は異なる。チームの目標というのは、達成してもしなくても次の目標、また次の目標へと変化する。「勝ち」は喜びで「負け」は悔しさだ。19年ラグビーがワールドカップで日本中を熱狂させた。負けても感動する、それはそこに「全力プレー」があるから、全員が同じ方向を向いてプレーするから感動が生まれる。勝ちは目標だが変化する。「目的」は不変、不変のものに焦点を合わせて、その達成のために目標を設定したのである。目の前のものに全力を尽くし続けるというのが、実は目的達成に一番近づくことなのだと。

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