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自社の社員、横領で顧問税理士を訴える

税理士がある企業と顧問契約を締結し、毎月毎月、月次の試算表を作成して企業に提出し、必要なときに経営や税務のアドバイスを行ってきた。多分、このようなやり方は、ごく普通、一般的であろう。また、時々、その会社の経理担当者が不正を行うことも、ごくまれにではある。

 

この事件は、経理担当者が当座預金から2000万円を横領したのである。あるときから、この経理担当者が税理士に対し、当座勘定照合表を提出しなくなった。そのため、税理士は月次試算表の作成にあたって、当座勘定照合表との突合せをしないまま、毎月試算表を経営者に提示していたのである。ところが横領が明るみになって、この税理士は経営者から提訴された。税理士が月次試算表を作成する際に当座預金照合表の現物を確認していれば、経理担当者による横領を防ぐことができたとして、税理士に対し2000万円の損害賠償を求めたのである。

 

これに対し地裁の判決が出た。会計帳簿の記帳代行を委任しただけでは一般的に、税理士が会計帳簿の記帳代行の際に原資料と突合する義務があるとは言えないとし、会社側の訴えを退けた。あたり前であろう。その会社の社員の使い込みを発見できなかったとして、いちいち税理士が問われるようであれば、監査法人などはもたない。

 

ここで世の会計事務所に警鐘を鳴らすのは、今や顧問先企業が平気で税理士を訴える時代になったということである。アメリカ的でもあるが、昔のように“なあなあ”では済まされない。税務処理の間違いでもあれば、それこそ税理士は損害賠償しなければならない。そのためにも、安い顧問料では太刀打ちできないであろう。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
石ノ森章太郎著 『王法・仏法の破滅 ― 応仁の乱』 中公文庫 524円+税
1467年5月26日、京に始まった応仁の乱。以後十数年に亘り、西国のほとんどの地域を戦火に巻き込み、栄華を誇った京の都を焦土と化したこの大乱を、石ノ森章太郎独特の新視点で捉える。桓武天皇の遷都以来700年、応仁の乱はどうして起こったのか。第6代将軍足利義教の専制は有力守護家を淘汰し、1449年、義正が14歳で将軍位についた頃は、有力守護の勢力の均衡の上に成り立っていた宿老政治は機能麻痺に陥り、側近政治が台頭した。日野重子や畠山義忠はじめ、この乱の真相をマンガで読む「応仁の乱」。ぐだぐだな展開、ヒーロー不在。勃発から550年を経て、いよいよ残念な「地味すぎる大乱」を漫画界の巨匠は描いている。

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