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トランプ大統領の確定申告書とロシア疑惑

長い日本の休暇がやっと終わった。休暇後、初のブログである。

 

トランプの確定申告書は大統領選挙戦中も開示せず、大統領就任後も開示していない。今回ロシア疑惑に関するMueller Reportに全文は開示されていないが、司法長官は一部を開示した。トランプ大統領及び司法長官は法に抵触はしていないとして勝利宣言をしたが、Muellerは反論を行い、トランプのとった行為は現在の法律では裁くことはできないが、潔白ということではなく、グレーだと主張している。

 

上院民主党はMueller Reportの全文の開示を司法長官に要求すると共に、トランプのロシア疑惑にからむ資金周りの調査のため、過去6年の所得税確定申告書を開示しろと財務省へ要求した。これはInternal Revenue Code Section6103(f)に定められているもので、House Ways and Means Committee(下院歳入委員会)の Chairが書面によるリクエストを行えば、財務省長官はいかなる確定申告書及び申告書に関わる情報もCommitteeに提出しなければならないとある。ところが、財務省長官のMnuchinは憲法上の重大な問題があるとしてこれを拒否している。

 

それではなぜ、トランプは連邦政府を巻き込んでまで自分の確定申告書が公にされるのを拒むのか?理由としては、①トランプ自身が吹聴しているほど富裕ではない(彼の資産は100億ドル(1兆1000億円)と主張しているが、フォーブスは30億ドル(3300億円)弱だと計算している。)。②ロシアとのかかわりがばれる。彼は90年代以降、ビジネスの破綻が相次ぎ債務不履行に陥った。その時点から米国の銀行は彼との取引を一切拒否している。つまり銀行取引停止である。そこに現れたのがドイツ銀行だ。しかしドイツ銀行でも債務不履行となり、貸出金をトランプの銀行から彼自身へ付け替えるに当たりロシアのマフィア筋のビジネスマンが絡みだしたのである。③税金を払っていないことがばれる。④慈善団体への寄付をしていないことがばれる。等々である。

 

ところが、2-3日前のNew York Timesによるスクープで、トランプは1985年から1994年の10年間で12億ドルもの損失を出しており、殆ど税金を払っていないと報道された。トランプのビジネスは殆どパートナーシップであり、ビジネスからの損失は彼の確定申告書にパススルーされている。Timesは過去に匿名から送られてきたトランプの確定申告書の写しを分析し、IRSの富裕層データベースと照合した。その結果は、1987年には“The Art of the Deal”という本を出しているが、実は“The Art of Losing Money”だったことがわかるというもの(笑)。

 

勿論、不動産ビジネスは減価償却費がつきもので損を出すのはペーパー上だけだと、損を出していることを認めているが、ビジネスの失敗がかなりの大きな部分を占めている。1987年にはNewsweekに、自分の歳でこれだけの成功を収めた人間はいないと答えている。では、なぜ、これだけの損を出しながら、贅沢な生活を送れるのか?これは父親のフレッド・トランプの存在だ。Timesの分析では、2018年の物価水準で計算すると、およそ4億1300万ドル(500億円)もの資金を父から受け取っているとされている。

 

今後トランプの申告書開示は最高裁で争われることになるが、ひょっとしたら、このロシア疑惑をはじめ彼の本当の姿がわかるかもしれない。トランプ劇場まだまだ続きそうだ。退屈しない男ではある。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
内館牧子著 『すぐ死ぬんだから』 講談社 1550円+税
ブログでの紹介はビジネス本が基本だが、たまに小説が入る。しかも内館牧子の本は「終わった人」に続いて2冊目である。
主人公のハナは78歳。長年連れ添った、仲の良い伴侶に旅立たれた。そして遺言があり、なんともう一つの家庭があったというのだ。しかも男の子がいて、42年間も隠し通していた。それを知ってハナは愕然とするが、そこからの人生をうまく書いている。これは、人生100年時代の新「終活」小説とも言える。
60歳を超えると、人は2つに分かれる。身の回りをかまわない老人と、常に「人は中身よりまず外見を磨かねばならない」とする老人。実年齢より若く見られたい。そのために努力する。つまり若く見せる偽装である。偽装すれば、年寄りくさい振る舞いは自分に許せなくなる。似合わないからだ。鈍くなること、くどくなること、愚痴になること、全部自分にゆるせなくなる。孫自慢に、元気自慢も許せるわけがない。エンディングノートもだ。残りの人生、先のない人生に向かい「やってやる」と。還暦を過ぎた人にお勧めだ。

 

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