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東京、大阪の地価下落はオリンピック後か?

今から27年前のことである。農家で東京、大阪、名古屋の中心部に農地を所有する者が亡くなった場合、路線価などで評価した農地は高価額になり、とても相続税は払えない。延納にしても、その農地から上がる収入では税金を払うことはできない。そこで政府は田舎にある農地と同様の措置を施し、相続税や固定資産税を極端なまで軽減する。その代わり、そこで30年以上農業をすることを義務づけた。つまり生産緑地法の制定である。

 

平成4年にこの法律が施行されたが、そこから30年、2022年である。この年から農地で農業を続けなくても、その農地を宅地にしたり、あるいは、自由に売却することができる。当たり前の話であるが、それをビジネスにする企業が開発などの目的で、今やその地主に殺到している。土地の有効活用や相続税対策をうたい文句に様々な業界が参入し始めた。

 

東京ドーム2000個以上だと言われる都市農地が3年後の2022年に生産緑地法の期限を迎え、地主は生産緑地の指定を続けるのか、宅地転用するために指定解除するのかの決断を迫られる。期限切れの時に再指定を受けると、さらに10年、税優遇を受けられるが、だいたいの予想は、多くの都市農家は指定解除に踏み切るとの見方である。そうなると、その農地が一斉に不動産流通市場になだれ込み、それが宅地の供給過剰になる。不動産価格の下振れリスク「2022問題」と言われるものである。

 

政府はこれを防ぐため、「特定生産緑地指定制度」を創設した。これは、農地には今まで認められなかった産地直売所や農家レストランを認めるというもの。そして、もう一つの新法「都市農地貸借法」を成立。農家は他の農家や市民農園を経営する企業に直接貸し出すことが可能となるもの。つまり、農家が営農する必要がなくなったのである。この二つの新法で、はたして農地が宅地に変わるのをどこまで阻止できるのか、見ものである。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
木山泰嗣著 『教養としての「税法」入門』 日本実業出版社 1750円+税
著者は大学教授で私のような税金の実務家ではない。したがって、税をアカデミックに取り扱っているが、税理士、会計士にも非常に役立つ本である。なぜ税金は課されるのか?から始まり、「税金が誕生した背景」「税金の制度や種類」「税法の重要な判決」などを取り上げ、豊富な事例とともに鋭く論を展開している。
歴史的に税法は、世界において革命の歴史であり、アメリカ独立戦争もしかりである。日本の所得税法は日清戦争のときに制定されたとしているが、実は明治憲法より前の1887年に誕生していた。また、個人事業者には必要経費は認められないとしていたが、大島教授の「サラリーマン税金訴訟」によって、サラリーマンの必要経費が認められた。最高裁大法廷判決が出た、いわゆる大島訴訟では憲法論で争った裁判で、税とは法であるとの考えが強く訴えられている。読みごたえがある本である。

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