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テキサスの不動産暴落、アメリカ住宅事情

もうすぐ日本で、今機中である。今回はブッシュ大統領の国葬と図らずも遇った。ところで、アメリカ・テキサスの住宅を買っている日本人は多い。節税と所得の両方を目的とした不動産投資は、もはや人口減少国の日本では実現しないと思って、アメリカで不動産投資を行う日本人は多くなった。圧倒的に多いのはニューヨーク州とカリフォルニア州である。しかし最低でも1億円は必要だ。ところがテキサスだと2000万円、3000万円でできる。そこで、これらの業者は日本で“アメリカ不動産投資セミナー”なるものを次々と開催し投資を煽った。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、そもそもアメリカ不動産ブームは終わりを告げようとしているのではないか。記事によると、テキサス州のPlano市の住宅価格が下落している。ダラスから北へ車で30分ほどにあるPlano市は、カリフォルニアのTorrance(私のオフィスもある)の北米本社が昨年、このPlanoに移転してきた。アメフトのダラスカーボーイズの練習施設もあり、さまざまなショッピングモールやテスラの本拠地でもあり、見た目、派手な街である。

 

Planoの隣接地のFriscoは高級住宅地で有名であるが、最近新築住宅が15万ドル(1700万円)も値引されている。ある所では400万ドル(4億5000万円)分の住宅が何件も買い手がつかないままである。デベロッパーは、そのため、お客を連れてきた不動産業者に対して、ルイ・ヴィトンのバッグやスーパーボールのチケットを与えている。それでもオープンハウス(日本にはない制度)には、訪れた人に対してクッキーを用意しているが、クッキーが食べられないまま残っていることが多い、とある。

 

アメリカ経済は過去10年間、順調に進んでいる。失業率も過去50年間でトランプ政権下、最も低いレベルになっている。しかし、株式市場とともに、住宅価格はこのところ8か月連続で下っている。過去4年間の中でも最も長いスランプに陥っている。住宅価格は不況でも強かったシアトル、デンバー、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコでも同様の状態である。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルでは「ダラスに何が起こっているのか」というテーマで、ダラスはアメリカのメトロポリタン地域の中でも雇用が過去2番目に強い伸びを示していたが、住宅価格の上昇が賃金の上昇よりも大きく上回っているため、購入者が減少しているという状況。しかも最近、アメリカ金利が上昇してきていて、2011年以来の住宅ローン金利となっているのも追い打ちをかけている。

 

ダラス地域の住宅販売は、昨年と比べて3.6%減少していて、家の売却には時間がかかり、オファーが重複することもなく、売却価格の値下げ合戦も日常茶飯事だとされ、この現象を「坑道の中のカナリア」と呼ばれるそうだ。

 

ダラス地域は1997年から2006年の間の住宅価格は毎年平均で2.5%の上昇率で、全アメリカの不動産価格の上昇率から取り残されていたが、2008年以降の住宅価格の値崩れが起こったときには、全米平均26%の下落があったところ、そもそも住宅価格が上昇していなかったため、一桁の下落で収まった。しかし、この5年間で日本人の購入もあり、急激に上昇し、平均住宅価格が23万5500ドル(2600万円)となり、2007年と比較すると、何と10年で50%以上の上昇率だ。サンフランシスコやシアトルも同様だが、ダラスの場合は事情が違う。西海岸の住宅購入者のほとんどが、現金で買うのに対して、ダラスは住宅ローンである。ダラスの住宅購入者の83%が住宅ローンに頼っている。全米の平均は81%であるので、それほど高い率ではないが、金利が上昇すると、より安い住宅を探すということになる。

 

このため、テキサスでは20万ドル(2300万円)以下の住宅に需要があり、それ以上の住宅が値下がってきているというのが現実である。ビバリーヒルズ辺りの住宅価格の値下がりはそう大きくないが、その10分の1程度で買えるテキサスの住宅に投資をした日本人。「安物買いの銭失い」にならなければよいが。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
ビートたけし著 『「さみしさ」の研究』 小学館 760円+税
私は報道番組以外、あまりテレビを見ないので、たけしは単なるお笑い芸人だと思っていたが、この本を読んで彼は教養のある、しかも人格者だと思った。「男は歳を取ったら、嫌われ者でちょうどいい」。私と同世代であるが、小説執筆、大河ドラマ出演などますます活躍の場を広げ、「本当の孤独」を知り抜いた男の著書。「孤独は幸せ」なんて嘘っぱちだ。そもそも「素晴らしい老後」なんてものは存在しない。またテレビも雑誌も老いている。「新潮45」の休刊には気骨も仁義も感じなかった。そして高等教育無償化も奨学金も愚の骨頂。バカを量産するために使っていい税金はない。日大アメフトの選手が監督やコーチの指示で悪質タックルをしたのは、バカな指導者たちにも逆らえないという。そのバカに対して国の補助金が出ている。などなど……
この本を読んで、たけしは何と読書量が多いかとはじめてわかった。自分がいかに知識がないか。知らないことがたくさんあるかを知ることこそ、年を取れば必要だと、それには本を読むことと記している。

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